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2013年11月18日 ハラールは潜在性大だが過剰期待は禁物 - ブランド価値向上のプラスαとして活用を

第7回〜ASEAN

  「今年はハラール元年だ――」そんな言葉が聞かれるほど、今、日本企業のハラール産業への関心が強まっている。しかし、マレーシアなど東南アジアの専門家 で、長年同国を研究されてきたSMBC日興証券金融経済調査部の川端隆史氏は、ハラールについて「大きな可能性を感じるが、期待が先走っている面もある」 と、懸念を示す。


―――そもそもハラールが意識されたきっかけは…。
川端  ハラールを産業と結び付けて主導してきたのはマレーシアだといえる。同国では60年代に、食品加工技術の向上や貿易拡大に伴って「何が入っているか分から ない食品」が流入してきた。非イスラム教徒の国民が比較的多いこともあり、食品管理の必要性が認識され、政府が対策を始めたのがハラール認証の始まりだ。 そのため、当時はハラールを産業として捉える認識はあまり強くなく、マハティール政権が打ち出した第2次工業化マスタープラン(1996-2005)の中 でも、わずかに触れられるに留まっていた。

―――産業として意識され始めたのは…。
川端  アブドラ政権下で、高付加価値産業の振興が死活問題になったころからだ。300ページを超える第3次工業化マスタープラン(2006-2020年)の中 で、30数ページに渡ってハラール産業の振興策が取り上げられるなど、積極的に産業としてのハラール振興を進める姿勢が現れてきた。なお、一見ハラールと いうとイスラム教徒のみを対象とするイメージを持たれるかもしれないが、マレーシアとしては「安全安心」ブランドとして、非イスラム圏への売り込みも図っ ている。敷居が高いと感じる人もいるが、各種世界工業基準などに準拠する仕組みも盛り込まれており、政府は、「一定のルールを遵守すれば取得できる」、非 イスラム教徒にも開かれたものとしてアピールしている。

―――ハラール認証は全イスラムに通用するのか…。
川端  実はそこが問題で、「不明」というのが正直なところだ。一般的にハラール市場は世界人口の4分の1、と謳われるが、実際はイスラム圏の中でもハラールへの 態度は一様ではない。というのも、イスラムにはカトリックのローマ教皇のような頂点の権威が存在せず、非常に多様性があり、国や地域、学派などによって考 え方が微妙に違うからだ。マレーシアのハラールは詳細な部分までガイドラインがあり、また政府が直接認証することから、信頼感が高いのは確かだが、あくま でそれは「マレーシアン・スタンダード」に過ぎない点は意識されるべきだ。もちろん、同国でビジネスを行う上ではマレーシアハラール認証は有効であり、ど こでも無難に通用すると思われるが、それ以外の団体によるハラール認証でも通用性はある。細かい規程のあるマレーシア式を取得するにはそれなりの労力やコ ストも必要だが、そうでもない認証もあり、取得のハードルは下がる。結局は消費者の意識やどのイスラムの解釈を重視するかで、どこまでの水準の認証を求め るかも違ってくる。

―――イスラム圏内でもハラールに対する温度差がある…。
川端  意外なようだが、例えば中東ではハラールへの意識はマレーシアや東南アジアほど高くない。なぜなら、マレーシアと異なり、そもそも住民のほとんどがイスラ ム教徒であるため、意識せずともハラールが守られてきたからだ。実際、中東の専門家からは「なぜ日本でこんな騒ぎになるのか不思議だ」という声も聞こえ る。ただ、ドバイなど対外的に開放的で観光業に強い地域や、非産油国など非イスラム圏との関係が重要である地域では、ハラールは意識されているし、また、 マレーシアで開催されるハラール見本市への中東諸国からの出展も増加してはいる。しかし、例えばイスラムの聖地メッカとメディナを抱えるサウジアラビアで は、懐疑的な見方もある。

―――医薬品や化粧品のハラール認証は…。
川端  正直にいって、日本の化粧品はもっとイスラム圏で売れる余地があると思っている。特にアジア圏では日本人女性の白い美しい肌はあこがれでもあり、体型も見 た目も大きく違う欧米人モデルを使うよりも、日本人モデル+日本製品というイメージは消費者に訴求力があるはずだ。イスラム圏では女性はおしゃれをできな いとの誤解があるが、それは間違いだ。女性が自動車の運転をすることが禁止されているサウジアラビアでは、女性たちは家の中で、ベールの下で美を競ってい る。イスラム教徒の女性はベールをする人が多いが、その下にはしっかりメイクをする人も多く、高品質の化粧品への需要は強い。彼女たちに安心して化粧品を 買ってもらうために、ハラール認証を取得するのは有効な戦略だろう。医薬品についても可能性はあると思う。一方で化粧品と医薬品に共通して問題なのが、ハ ラール認証を取得する上で、製造過程プロセスを認証団体に公開する必要があることだ。企業内秘密を第三者に見せられるのかは難しいところで、契約で秘密保 護を確認するなどの法的な予防策も必要になってくる。

―――その他ハラールへの留意点は…。
川端  ハラールさえ取得すれば万事が上手くいく、わけではないことは意識するべきだ。当たり前の話だが、商品が売れるためには現地の人々に美味しいと思われるこ とが不可欠だ。新規に進出する地域であれば、自社製品のブランディングも必須だ。ケンタッキー・フライド・チキンやネスレはハラール市場進出の成功例と言 われているが、彼らにしても商品が消費者に歓迎されたのが成功の原因であり、ハラール認証は消費者の安心感を高めるプラスαだ。日本企業も、ハラール認証 はブランド価値向上戦略全体のなかでの位置付けを定めて行く必要があろう。そもそも誤解が多いところだが、ハラール認証がなければ市場に流通できない、と いうわけではない。これはハラールへの意識が最も高いマレーシアでさえそうだ。このことをお話すると驚かれることが多いが、ハラール認証は昔からあったの ではなく、比較的最近になって浸透し始めたものであり、現地の製品すべてがハラール認証を受けているわけではない。非イスラム教徒も多くいることを考える と、ある意味で当然の話だ。ただ、多少値が張ってもマレーシアイスラム教徒であればハラール認証付き製品を好む傾向があるのは確かだ。

―――日本企業はハラールをどう捉えるべきか…。
川端  日本の国内市場が縮小する中、海外市場への期待感が高まっているのは理解できる。ただ、ハラールは普通の市場とは異なり、宗教・文化そのものであるという ことは考慮して頂きたい。ハラールを利用した一時的な金儲けを意識すれば消費者もそのことに気づくし、将来的に企業にとって大きなリスクになりかねない。 それよりは、イスラム世界と長い目でどう付き合っていくかを考え、自社製品をいかにイスラム圏に根付かせるのか、いかに顧客の生活を向上させるのかを踏ま え、ハラール市場と接してほしい。最終的にはそうした企業がハラール市場で勝利するのではないだろうか。

―――最後にコメントを…。
川端  やや行き過ぎの感もあるものの、ハラールブーム自体は、イスラム圏への関心が高まっているという意味で悪い話ではないと思っている。これまで日本企業はイ スラム圏でのビジネスで他国の後塵を拝してきたが、その最大の原因は「イスラム=リスク」という認識が強かったことにある。ハラールを通じ、積極的にイス ラムを理解していくのは、日本・イスラム圏双方にとって有益だろう。イスラム圏は口コミ社会で、一度商品が定着し、信頼を勝ち取れば、口コミを通し、売上 は大きく上昇するはずだ。SNSの利用が急速に広がっていることも、それに拍車をかけるだろう。確かに宗教との接し方は難しく、レピュテーション・リスク には十分注意を払うべきものの、誠実に接しさえすれば、大きな問題にはならないだろう。

 

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