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2013年09月24日 自然災害と日本の支援

 1999年以降、マルク紛争で激戦地となったインドネシアのマルク州アンボン島。現在は治安も安定しているが、新たに自然災害という問題に直面している。
 2012年7月13日、アンボン島ワイエラ川上流で発生した深層崩壊は、高さ170メートルにもなる大規模河道閉塞(以下、天然ダム)を造りだし、下流約2キロメートルにある人口約5000人のネグリ・リマ村が天然ダム決壊に伴う大規模災害の危機にさらされた。
  2013年7月25日、ワイエラ川の大規模な天然ダムは、前日からの豪雨(日雨量約430ミリメートル)で水位が上昇、その後、越流し決壊する事態となっ た。決壊後、水位は約60メートル下がり、下流域の氾濫範囲は約37万平方メートルにも達し、村の一部は海まで流出するという大災害となった。現地調査に 入った国土交通省の報告によると、この規模は日本で発生した天然ダムの中で、戦後最大規模といわれる1953年、和歌山県旧花園村(現かつらぎ町)金剛寺 天然ダムに匹敵する規模とのことである。天然ダムが決壊した10時30分頃、下流域では約1300万立方メートルの濁水が約7メートルの高さで氾濫、ネグ リ・リマ村では行方不明者3名、470戸以上の家屋と小学校、その他公共施設やモスクにも甚大な被害をもたらした。
 一方、こうした大規模災害の中、5234名もの村民(インドネシア国家防災庁7月29日発表)をどのように事前避難させたのか、その舞台裏を紹介したい。
  通信・電力環境が十分と言えない現地で、天然ダムの監視観測を強化するインドネシア政府を支援するため、2013年2月に国土交通省及び独立行政法人土木 研究所は、インドネシア公共事業省とともに水位観測用ブイを設置した。このブイは2011年9月、紀伊半島に未曾有の豪雨をもたらした台風12号の大水害 でも活躍した「土研式水位観測ブイ(投下型)」である。これまでの水位観測は、天然ダム閉塞部の決壊による土石流を案じながらも、道路の寸断により天然ダ ムに近づけないことや、通信機能や電源確保が困難といった問題があった。しかしながら、この水位観測用ブイは、道路が寸断されてもヘリコプターによる運 搬・投下設置が可能なため、迅速に観測を開始することが可能で、衛星通信により安定的に水位データを送受信することができる優れものである。
 こ うした日本の技術とインドネシア両国のスタッフによる監視体制の確立により、大量の土石流が流出したにもかかわらず、下流域の多くの人命を救ったと言え る。インドネシアでは過去にも津波や豪雨災害を受けるなど、その被災は日本と類似している。日本ではこうした災害への事前防災、復旧、復興力が蓄積されて おり、調査・解析をはじめ現場の技術力でも協力することが可能である。現場の技術力を他国に蓄積していくことは、発災地の援助のみならず、今後、高確率で 発生するとされる首都直下型地震や、東海・東南海・南海地震の対策として、日本の現場技術力の代替確保にもつながる。インドネシアはそのパートナーになり 得るのではないか。さらなる協力体制が構築されることを期待する。

堀場明子(Serendipity Japan)

 

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