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2013年04月22日 パプアと「小さな民」を考える

 インドネシアを中心に、東南アジアの開発問題を研究してきた早稲田大学アジア研究機構教授の村井吉敬氏が膵臓癌のためお亡くなりになった。村井氏は、ス ンダ社会の研究にはじまり、東へ、東へとそのフィールドを移しながらインドネシアの海岸を歩き、「小さな民」に寄り添おうとする姿勢、視点を持ち続け分析 を続けてこられた。ODA批判を含む開発問題、環境問題、紛争問題、民主化支援など、まずは現地に赴き、声なき声に耳を傾け、問題点を詳細なデータに基づ き分析した研究は、インドネシアをより深く理解する助けとなった人も多いはずである。その村井氏が最後の著作のテーマとして挙げたのは「パプア」であっ た。
 パプアは、日本のほぼ真南、赤道直下に位置するパプアニューギニア島の西半分のインドネシア領のことを指す。東はパプアニューギニアという 独立国家である。以前は、イリアンジャヤ州と呼ばれ、インドネシア最大の州であり2002年にパプア州に改称した。その後、2003年にパプア州と西イリ アンジャヤ州(現在は西パプア州)として分離し、二つの州に分かれている。人口は両州を合わせて約359万人。人口の半数以上がパプア以外からの移住者と なっている。キリスト教徒が約80%を占め、数多くの民族グループ(パプア州政府によると先住民族372グループ)が存在し、その全体像すら十分には分 かっていないという。未開の地、秘境、裸族、弓と槍といったイメージがあるパプアは、ジャカルタから約3800キロメートル。州都のジャヤプラまで直行便 でも6時間半はかかる、距離的にも文化的にも遠い地域である。
 ジャカルタの人ですら「遠い」パプアは、日本と縁が薄い地域かと言えば、実はそう ではない。パプアは第二次世界大戦中、連合軍との激しい戦闘が繰り広げられた場所であり、ニューギニア島には、20万人の日本人将校が上陸し、生き残った のはたった2万人と言われている。日本人犠牲者の遺骨が今もジャングルの中で眠っている。パプアはまた自然と資源の豊かな場所であり、日本もたくさんの恩 恵を受けている。世界最大級の銅と金山があり、また天然ガスも採掘され、日本に輸出されている。過去には日本企業も不法伐採に関与したケースもあるよう に、マングローブ林を伐採し、紙の原料として日本に輸出されていたこともある。また、エビ、トビウオの卵、真珠も日本に送られている。
 パプアは、インドネシアからの独立運動が続いている地域でもある。1969年からインドネシアの一つの州として併合されている。インドネシアの治安部隊による独立運動への弾圧が続き、人権侵害の被害報告が絶えない。
 パプアを始め、困難な状況にあっても強くたくましく生き、時にしたたかでもある「小さな民」の持つ知恵から学ぶことは多い。インドネシアを深く知るためには、「小さな民」への関心を忘れてはならない。インドネシアは、何といっても彼らによって構成されているからだ。

堀場明子(Current Asia)

 

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