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2016年11月07日 ベトナム労働安全衛生法が施行

1. 労働安全衛生法の概要
 この度、2015年6月に制定されたベトナム労働安全衛生法(84/2015/QH13号)が2016年7月1日に施行された。ベトナム国内で、労働安全衛生に関する体系的な法律が制定されたのは初めてとなる。内容としては、これまでに発行された政令、通達などを1つの法律にまとめたものとなっており、労働安全衛生の確保、労働災害・職業病の被災者に対する政策・制度、労働安全衛生に関する各団体・個人の責任及および権利、労働安全衛生に関する国の管理について規定されている。なお、同法の施行に伴い、社会保険法第3章第3節の労働災害や職業病に関する規定は失効した。以下、同法施行に際して、考察を行う。


2. 雇用者の義務増大
 
 (1)情報提供、研修義務や健康診断実施義務

 同法では雇用者の義務をより詳細に規定している。例えば、職場の労働安全衛生に関しては、労働安全衛生に関する定期的な情報提供(同法第13条)、訓練(同法第14条)、測定、緊急対応計画の策定(同法第16条)、従業員に対する最低年1回の健康診断実施義務(同法第21条)等が規定された。
 なお、安全衛生研修に関しては従来、外部団体が実施する研修があったが、今回従業員に対して、企業内で研修を実施することが認められ、さらに製造販売活動に影響しないよう業種、職位、規模などが考慮される運びとなった(同法第14条)。ただし、研修講師の認定条件は厳しく、容易には企業内研修が認められない可能性がある。
 (2)労働安全衛生確保に関する検査担当者の配置
 労働安全衛生確保に関する研修セミナーの開催、訓練の実施、労働安全衛生確保に関するモニタリングを実施する検査担当者の配置(同法第7条)等が規定され、従業員に対する保護が厚くなっていると評価できる。
 (3)労災保険の補償範囲
 労災・職業病を被災した従業員に対しては、労災保険での補償範囲が、死亡時の手当、障害の認定費用や認定後の手当、職場復帰にかかる費用の支給などに限定される。一方、雇用者には治療費の立て替え義務、医療保険で負担されない治療費、給与補償、労働喪失率に基づく補償金の支払い義務が課されることとなった(同法第38条)ため、雇用者の義務が増大したといえる。


3. 労働安全衛生法の今後

 このように同法の施行により、ベトナムの従業員に対する保護が厚くなったと同時に、企業への負担が増大している。その他細かい規定もあり、今後、同法の実行や執行状況に関して動向に注視する必要がある。また、同法で詳細が規定されていない部分については、その都度、政令や通達が公布される可能性があるため、情報を常にアップデートしていくことが肝要である。

藪本 雄登(yuto.yabumoto@oneasia.legal)

 

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