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2013年03月25日 マレーシアでの紛争解決

 今回はマレーシアでの契約における紛争解決手段・条項についてご紹介します。契約相手が現地企業の場合や、契約がマレーシアに関するものである場合、紛争解決手段を「どこ」(マレーシアか外国か)の「なに」(裁判か仲裁か)にするかが問題になります。

マレーシアでの裁判
  一部のアジアの国では裁判官への賄賂がある、または自国民に有利な判決がなされる傾向がある等の理由から、外国企業が裁判をすることはお勧めできないこと もあります。マレーシアでは、外国企業も現に裁判をしており、現地弁護士によれば外国企業が特段不利に扱われることはないとのことです。
 裁判は、仲裁に比べて費用がかからないと言われていますが、一般に時間は長くかかり、長期化によりコストがかさむこともあります。
 裁判における言語は、マレー語とされていますが、実際には英語の使用が認められることもあるようです。私が傍聴した事案では、日本人が証言し、通訳人がマレー語ではなく英語に翻訳していました。

マレーシアでの仲裁
  マレーシアにはクアラルンプール地域仲裁センター(Kuala Lumpur Regional Centre for Arbitration)があります。まだ活用事例は多くないようですが、非公開、一回限り(上訴できない)という仲裁の一般的メリットを備えつつ、 KLRCAはその強みとして、他地域の仲裁よりはコストがかからないとアピールしています。最近ではマレーシアをイスラム金融のハブにするという政策のも と、イスラム金融関連の仲裁をKLRCAに誘致しようとしています。国内企業間契約でも、裁判ではなく仲裁を紛争解決手段として選択する例も増えているよ うです。

外国での裁判
 例えば日本企業がマレーシア企業を相手に東京で裁判を行い勝訴した場 合、判決をマレーシアで執行する(具体的にはマレーシアにある財産を差し押さえる)ことができるかという点は、よく質問を受けます。残念ながら、容易では ありません。1958年判決相互執行法により指定された国の判決であれば、判決を登録することによりマレーシアで執行することができますが、当該指定は主 に英国法系の国(英国、シンガポール、インド等)になされており、日本は指定されていません。

外国での仲裁
  日本の判決のマレーシアでの執行が難しいとなると、東京で得た「仲裁」判断を現地で執行できるか、という点もよく聞かれます。外国での仲裁については、外 国仲裁判断の承認及び執行に関する条約(ニューヨーク条約)があり、マレーシア、日本は締結国です。そのため、日本はもちろん、シンガポールや香港等の締 結国でなされた仲裁判断をマレーシアで執行することができます。実際に外国仲裁判断が執行された例もあるようです。

小括
  日本では裁判所に対する信頼が厚く、紛争解決手段としては裁判を選びつつも、実際には裁判を起こすのはやや敷居が高いため、当事者間で、場合によっては トップ同士の会談で紛争を解決することがあるように思います。しかし、法制度のみならず、言語やビジネス慣習も違う国の企業との契約の際には、「将来なん らかの紛争が起きるかもしれない」という点をしっかり認識した上で、紛争が起きた場合の対処方法をあらかじめ相手方と合意しておくことが肝要と思われま す。

西村あさひ法律事務所 小山晋資
(マレーシアZaid Ibrahim & Co.出向中)

 

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