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2013年12月09日 食べる茶葉 ラペットウ

 

  先日、とある会食に同席した際に、ミャンマー人の参加者が差し入れの品を披露した。回されてきた多段式ステンレス製弁当箱に収まっていたのは、「ラペット ウ」と呼ばれる茶葉のサラダである。中には小型のスプーンが添えられていたが、1つしか無い。そこで、日本人の出席者は、スプーンでラペットウをすくって 手に落とし、あるいは自分の皿によそって口に運んだ。

 ミャンマー人の参加者は、その様子を見て楽しげに笑っている。初めての味を経験した 日本人の反応が面白かったから、というだけではない。ラペットウは本来、スプーンを皆で使いまわして食べる料理である。ところが、日本の食文化では、人が 口に付けた食器の利用を避けるため、あのような独特な食べ方になってしまう。このような食事作法の違いが面白かったのだろう。
 ミャンマーでも、 茶は非常に身近な食品である。ただし、飲み物としてより、このラペットウのように食品として消費する方が一般的だ。茶のことを「ラペッ」といい、サラダの ように色々な食材を混ぜ合わせた料理を「アトウ」と言う。ラペッのアトウゆえにラペットウというわけである。ミャンマーの一般家庭では定番のお茶請けとし て、またはレストラン等で食後のデザートとして出されることが多い。
 ラペットウが出される時は、内部がいくつかに仕切られた漆器がよく使われ る。その中に発酵させた茶葉と、炒り豆、乾燥ニンニク、干しエビなどが収納されていて、これを少しずつスプーンに取り、混ぜ合わせて一口で食べる。茶葉に 浸み込んだ油の辛み、茶葉の苦みが口の中に広がると同時に、豆やニンニクが砕けて、多様な味の展開が楽しめる。それほどクセは強くない。
 ただ し、冒頭でも述べたように、1つか2つのスプーンを使いまわして皆で食べるのが通常の食べ方だ。このような食べ方には、実は長い伝統があるという。ラペッ トウは王朝時代から既に存在し、裁判等が解決した際に、関係者一同で共食し、和解の証としたという。転じて、現代でもラペットウを共食することが協調の証 でもあるわけだ。
 このような文化的意義もあって、ラペットウはミャンマーの食文化を代表する1品と言うことができるだろう。今では流通ルートも 現代化していて、スーパーに行けば必ずパック入りのラペットウが売られている。一袋はせいぜい300~500チャット程度。王朝時代から続く老舗のブラン ドもあり、味付けも多様化し始めている。
 今後、ミャンマー人と会食する機会が増えていくにつれ、ラペットウで歓迎される日本人も増えるに違いな い。そのような時に、日本的な食文化を実演して、文化の違いを説明するのも相手の興味を誘うだろうが、手際よくラペットウをよそり、思い切ってスプーンの 使い回しに参加するのも、相手との距離を縮めるうえでは有効だろう。

上智大学大学院 石川和雅

 

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