ヤマハ発動機株式会社 様

ヤマハ発動機株式会社 様

「とがった」スタイル追求


ベトナムのフラッグシップショップ「ヤマハタウン」
 ヤマハ発動機(7272)は、新中期経営計画(2010~2012年)でアジア重視の姿勢を明確に打ち出し、売上に占める同地域の割合を拡大する。二輪車事業では、低価格モデルの比率を2009年の20%から12年に60%とし、モデルの共通化や部品補完などで新興国での一層の収益力アップを図る計画。また、ヤマハ独自技術であるFI(電子制御燃料噴射)システムの搭載モデルを拡充し、搭載比率は09年の3%から12年に50%、15年に80%まで引き上げる。

 

 09年は金融危機の影響が続き、レジャーや趣味性の高い商品を揃えるヤマハにとってはまさに試練の経営環境にさらされた。一方でアジアの二輪車事業は、東南アジアの大市場であるインドネシアなどで需要が堅調に推移し販売台数は前年比増加。欧米や日本が軒並み2ケタ減となる中、アジアは499万3000台と5.9%増加し、このうちインドネシアは265万1000台で8%増、ベトナムは64万3000台で34%増となった。販売網の強化や高付加価値商品の投入、生産能力拡大などの企業努力に支えられたとともに、各国の内需ポテンシャルの高さが示された形。ヤマハは10年の二輪車販売予想について、東南アジア地域449万台、中国70万台、インド27万台としており、アジア全体では前年比13.9%増の568万9000台を見込んでいる。二輪車売上高に占めるアジアの割合も、09年の59%から10年は62%に拡大する見通しだ。

 

 厳しい経営環境にさらされたのは1997年のアジア通貨危機の際も同様で、前回は各国で大幅なシェア低下に見舞われたという。そこでヤマハのとった戦略は、若年層に焦点を絞った徹底したファッショナブル路線。当時は、東南アジアなどの主な二輪車所有者、利用者といえば家長である父親たちであり、車種も質実剛健を形にしたカブタイプのものが主流だったが、ヤマハは他社に先駆けオートマチックモデルを開拓し、従来のカブタイプもスポーティさを前面に出したデザインや水冷式エンジン搭載の上位モデルを投入するなど、性能とデザインで「とがった」スタイルを追求した。また、主要都市には自動車ディーラー顔負けのフラッグシップショップを展開。アパレルやバイク用品と合わせた新たなライフスタイルやファッションの提案、展示会・試乗会の全国展開やヤマハ車で各国をリレー・ツーリングするキャンペーンなど、斬新な販売戦略でシェア回復を果たした。次世代環境対応エンジンでは燃費の50%向上も目指しており、人々の生活の足として親しまれる二輪車を今後もさらに身近な存在にしていく。(M)