HOYA株式会社 様

HOYA株式会社 様

生産・人材をグローバル化


HOYA LENS THAILANDの外観
 アジア・オセアニアのほぼ全ての国・地域に進出するHOYA(7741)は、連結子会社全106社のうち、同地域でおよそ半数近くの50社を超える製造販売拠点を擁し、主力事業を展開している。同地域での事業の歴史は、タイで1974年に設立したメガネレンズ製造拠点にさかのぼり、グループ全体の売上高に占める域内売上高の割合は3割程度に達した。また同地域は、従来の生産拠点としての位置付けから消費市場としての重要性が一段と高まりつつあり、販売拡大へ向けた体制作りも急ぐ。

 

 生産拠点としては、日本企業の海外進出がまだ珍しかった70年代から、コストダウンを意識し積極的にアジアに目を向けてきた。当時、賃金が安く治安も良かったタイを進出先に選び、HOYA LENS THAILANDを設立。メガネレンズを日本や各国に供給し、今では世界最大級の規模まで拡大した。当初はレンズ生産のみを行なっていたが、各国から注文を受けてレンズ加工まで行なうように。コンピューターやバーコード管理の発達で、レンズ生産に続く完成品まで手がけることが可能となり、各国のメガネ店では加工されたレンズをフレームに取り付けるだけになったという。メガネレンズ生産では、生産能力の拡大と中国市場の開拓に向けて、95年に広州にも製造子会社を設立した。

 

 エレクトロニクス関連での進出は、1980年代後半から90年代前半とやや遅れる。「技術流出への懸念から国内生産にこだわっていた」ものの、コスト面に加え、製品を供給する顧客が次々にアジアに進出したこともあり、これに対応した。顧客に近いことは価格の安さ以上に重要といい、半導体や液晶パネルの回路原板になる「マスク」などは注文を受けた翌日、翌々日には出荷する必要があり「時間との闘い」。台湾や韓国などの同業他社も力をつけてきており、企業競争に勝ち残るためにも現地進出は避けて通れなかった。

 

 一方で、市場としてのアジアの魅力は他業種と同様。HOYAが消費市場に対して供給するのはメガネレンズや医療用内視鏡、デジタルカメラなどで、長年積み上げてきた技術力を背景にハイクラス製品を得意とする。先進国以外では販売が難しいと思われるようなハイクラスの製品も、販売当初は珍しさも手伝って一定の販売はできるが、ある時点から地元メーカーとの戦いが熾烈になるといい、ミドルクラス以下の製品開発とマーケティングが課題となっている。メガネレンズについては、中国やインドなどで販売チェーンが進出するなど急速に市場が拡大する一方で、高付加価値レンズへの需要増という質的向上も期待される。

 

 HOYAは「最適地生産・最適地販売」を掲げており、生産・販売拠点の海外移転は今後も加速する見通し。同時に、トップ・幹部人事では「現地主義」をとり、人材のグローバル化も推し進めている。(M)