日本ハム株式会社 様

日本ハム株式会社 様

「食文化」で越市場に照準


ベトナムの商品
 日本ハム(2282)が東南アジア市場の取り込みに動き始めた。従来は域内で生産した製品を日本に輸入・販売するビジネスモデルが中心だったが、現地で進む食の多様化、食肉加工品の需要拡大に対して生産と販売拠点の構築を急ぐ。

 

 東南アジア市場でまずターゲットとするのはベトナムだ。地場食肉加工メーカーのゴールデンピッグ社(GP社)に出資・増資を行なうことで、「日本ゴールデンピッグ社」を5月に立ち上げる予定。GP社は同国南部ロンアン省を拠点とし、4つ星、5つ星クラスの高級ホテル向けに食肉加工品を供給しており、この分野のシェアは9割に上るとされる。新会社は一般消費者向けの製品開発や販売も強化し、幅広い需要に対応していく。また、同国で事業実績を持つエースコックと協力し、流通・販売面などで連携を図っていく考えだ。

 

 日本ハムがベトナムをマーケット対象とした理由の1つは、その食文化にある。同国では豚肉を主要なタンパク源とし、生産量は枝肉ベースで190万トンと日本の130万トンを大きく上回り、世界では第6位。1人当たり消費量も年21キロと日本の19キロより多く、内臓や豚足など現地で好んで食される部位を含めるとその量はさらに多くなるとみられる。チャールアと呼ばれるベトナム伝統のポークハムがあり、これをフランスパンに挟んだり、厚切りにしてそのまま食べる習慣もあるという。

 

 同国の1人当たりGDPは1000米ドル余りで、肉類の消費拡大の指標となる水準を超えたこと、さらに都市部では加工食品の消費が増えるGDP3000米ドルに近づきつつあることから、今後確実に市場が伸びていく見通しだ。新会社は、現在の売上高5億円から2014年には15億円まで拡大させる計画だ。

 

 ベトナムを含めた東南アジア市場の開拓では、開発から生産・販売まで現地化を重視する。特に製品開発では、日本の技術と品質を基礎としながら現地独自の嗜好やスタイルを優先していく。一方で、日本で約70年にわたり食肉加工品を普及させてきたノウハウを最大限活用する。もともと食肉消費量が少なかった日本でマーケットを作り上げた経験は、成長途上の各国での展開でも共通点が多いとみるからだ。また、インドネシアやマレーシアをはじめとした域内3億人のイスラム市場の掘り起こしも視野に入れている。

 

 東南アジアは生産・輸出の一大拠点でもある。タイでは鶏肉など食肉加工品の生産、夏野菜の委託栽培、すしネタをはじめとした水産加工品の調達を行なっており、シンガポールは地域のトレーディングセンターを置く。東南アジアは市場として成長するにつれ、供給拠点としての役割もさらに重要になっていく見通しだ。