郵貯が最大のライバルに

郵貯が最大のライバルに

アイワイバンク銀行 代表取締役社長 安斎 隆 氏



――御社と提携している金融機関は何社に拡大した…。

安斎 おかげさまで六月二十二日現在、四百九十四社で、このうち銀行の数は五十六行となった。まだ提携していない銀行は、大手行ではみずほ銀行のほか、第二地銀やセブン―イレブンが進出していない県の銀行だ。ただ、みずほ銀行などは提携はしていないけれどもBANCSを通じて当社のATMで使用することはできる。

――セブン―イレブンが進出していない県は…。

安斎 四十七の都道府県のうち、既に三十二に進出しているが、十五県はこれからだ。青森、秋田、岩手、北陸三県、岐阜、三重、山陰二県、四国四県そして鹿児島と沖縄だ。当社以外の全国展開のコンビニエンス・ストアは比較的県庁所在地など中心部に出店しているが、これに対しセブン―イレブンは一つの県に出店する際はお弁当などの工場を建設して百店以上の規模で集中して出店する。それだけに一気にすべての都道府県には出店できないが、工場による雇用などセブン―イレブン進出による経済効果が期待できるため、進出先の知事さんや市長さんには大変に感謝されている。

――セブン―イレブンのすべてのお店にIYバンクのATMが設置されている…。

安斎 すべてのお店にATMを設置する方針で展開してきており、現在二十五の都道府県にはほぼ全店に設置している。また、佐賀県は今年の秋から展開する予定となっている。セブン―イレブンが進出している県のうち残り六県(岩手県、宮城県、山梨県、奈良県,
和歌山県、大分県)は地元の金融機関との提携がこれからで、この関係でまたその県のセブン―イレブンには設置されていない。もちろん、今後もセブン―イレブンには全店に設置する方針で取り組んでいく。

――全国のATMの設置台数は…。

安斎 今現在で一万三百九十七台だ。このうち、セブン―イレブンが一万二百台弱、その他はイトーヨーカドーやデニーズ等に設置されている。当社が設立されて今年が五年目であることから、毎年約二千七百台ずつ増加してきたことになるが、この数はATM生産のほぼ限界だ。つまり、当社から発注を受けたATMの生産工場がほぼフル稼働して製造している状況が続いているというわけだ。また、セブン―イレブンが、まだ出店していない十五県に加えて、都心や愛知県などでもさらに増加しており、こうしたところにもATMを設置していくだろう。このため、まだまだ設置台数は増加する見通しだ。

――設置台数の拡大にあわせて、サービス内容を充実させるということは…。

安斎 金融機関との提携の際の接続方法について金融機関が選べるようにし、NTTデータの従来のネットワークを使用した接続と当社との間で全く新しいネットワークを構築する接続方法だ。新たなネットワークは少しお金がかかるが、しかし、いろいろな機能、例えば預金の出し入れ、残高照会、振り込み、カードローンといったサービスにとどまらず、例えば国債なども販売できるシステムだ。また、新たなネットワークは一件ごとの取引に課金される仕組みではないため、使えば使うほど効率は上がり金融機関のメリットが高くなる。

――金融機関がIYバンクのネットワークを選択できると…。

安斎 選択できるという点では、利用する個人へのATM手数料についても金融機関が独自に決める形をとっており、我々が決めているわけではない。しかし、ATM手数料を取らない金融機関については我々が金融機関からいただく手数料も割り引かせていただいている。これは、お客様から手数料を取らなければ当然のことながらATMを利用する数が増え、そうなると、セブン―イレブンへの来店客が増え、その分、売り上げの増加が期待できるためだ。

――ATM設置による来客効果が期待できる…。

安斎 それと、今、我々は金融機関に対しサービス時間の延長を提案している。これは、セブン―イレブンは二十四時間営業をしているため、深夜までサービスが可能であることから、サービス時間を延長すれば深夜の取引手数料収入があがり、採算性が向上するためだ。お客様もその方が便利であるし、また、そうなるとセブン―イレブンとしても深夜の来店効果が期待できる。さらに、まだ一部の金融機関にとどまっているお振込やカードローンの取引も積極的に提案している。

――ATMの設置台数の拡大や提携先金融機関の増加だけでなく、提携サービスの内容充実にも力を入れていると…。

安斎 ただ、お客様のニーズがあれば別として、当社のATMから株などを購入できるようにするのはいかがなものかと考えている。これは、購入するために考える時間がかかるためで、そうなると今、一日一台平均八十人余りの他の利用者の迷惑になるのではないか。ATMの前で考え込まれては、セブン―イレブンにとってもお客様の流れに支障が出よう。このため、株などの取引についてはネット取引で行えば良いと考えており、当社のATMではあくまでもシンプルな取引でサービスを展開していく方針だ。

――今、社員の人数は…。

安斎 設立当初の七十名前後に対し、五年目の今は百九十名程度に増えている。しかし、警備やコンピューターの運用などいくつかの業務をアウトソーシングしてコストを低く抑えているため、実際に当社の業務を行っている人員は二千人近くにのぼるのではないか。それらの人たちが二十四時間働いて当社の業務がつつがなく行われていることになる。

――そうなると、今後の最大のライバルは郵貯のATMということになる…。

安斎 ご指摘の通り、やはり郵貯が最大のライバルとなるだろう。金融ビッグバン以降、金融機関の合理化が進んでおり、この先も支店の数を減らす傾向が続くだろう。そうなると当社の依存度が高まる一方で二万四千店舗と二万六千台のATMを持っている郵貯の存在もより大きなものとなる。郵貯は国債や投信など金融商品の販売・運用に加えて個人ローンなどにも進出してくるだろうが、しかし、やはり最大の売り物は全国どこにでも店舗があるという決済システムだろう。このため、日本の小口資金の決済は郵貯とわがIYバンクに集中してくるのではないか。民営化する郵貯に今後も負けることがないように努力していきたいと考えている。

――三年目から黒字に転じており、あとは上場だ…。

安斎 おかげさまで今期中に累積損も解消する見通しで、その後、上場についてはじっくり考えたい。当社は資本金六百十億円に対し、自己資本比率は一八〇%であることから、上場により資金を調達するという必要はない。しかし、企業体として世間に当社の経営をさらすことでより一層の自主規制が行えることや、将来、設備投資等によって資金が必要にならないとも限らないこと、あるいは株主にこれまで支えてくれたお返しをすることなどができるので、上場を展望している。また、当社の名前を十月から「セブン銀行」と変えることを決定した。お客様にとってよりなじみやすい「セブン」という名称を社名にすることでさらに認知度向上を図り今後の事業展開に結びつけていきたい。