新商品をステップに世界再編に対応

新商品をステップに世界再編に対応

大阪証券取引所 取締役社長 米田 道生 氏



――新しい試みをいろいろ始めている…。

米田 大証では従来の日経225先物取引のミニサイズとなる日経225miniを去年の7月からスタートさせたが、実は私が2000年に取引所に来たころから、先物のミニサイズをいずれ導入したいと考えていた。当時、海外の主要なデリバティブ取引所ではミニ商品を導入し成功していたため,ニーズが高いことは分かっていた。一時すいぶん検討したが、当時は日経225先物取引における個人のシェアを見ても1%を下回っている状況であり,まだminiを導入できる環境は十分ではなかった。導入については,タイミングを見計らっていたが,日経225先物取引における個人の割合が10%近くまで上昇し,証券会社からのニーズも出だしたため導入に踏み切った。

――miniは今どのくらい膨らんでいるのか…。

米田 日経225先物の場合、07年1月の一日平均で約10万枚となっている。取引代金は1枚あたり約1,700万円なので、1日あたり約1兆7,000億円の取引となる。一方、日経225miniの取引は約11万枚。2月に入っても10万枚を常時超えており、日経225先物取引の取引高を上回っている。

――そうすると金額ベースで1割になっている…。

米田 デリバティブの世界では新商品を導入しても、すぐに結果が出るわけではない。日経225miniは一日の取引が10万枚超えており、一定評価ができるのではないか。

――気になるのはminiが、現物の価格形成にどのような影響をおよぼすのかということだ。

米田 いろいろな考え方があるが、基本的には現物の派生商品であるので、現物から市場はできていると考えている。しかし、例えば,現物のみでは、株は持っておきたいが先行き値下がりしそうな場合に、デリバティブ市場がないと、直接現物市場で売るしかリスクヘッジができない。デリバティブ市場があることで、市場に厚みが出てきて、価格形成も練れてくる。日経225miniについてもまったく同様と考えている。

――いろいろ検討されているようだが…。

米田 大証は、常に時代を先取りしながら工夫をしてきた。結局、これが大証の大証たるところだ。その一例が、ちょうど20年前、1987年に日本で最初に大証で、エクイティのデリバティブを取り入れたこと。また,最近ではETFである。ETFは、かなり早い段階から導入の検討していた。最初は外国から導入しようとしたが大変で結局、日経225のETFを導入することにした。

――ETFについては、いつから、どんな手順で

米田 まず大証では日経225型のETFを6年前に導入した。そして、2年前からアメリカで金のETFが出て、結構取引ができ始めていたと聞いていたので、1年前から研究を始めた。ところが、金等の商品を購入し、それをETFに組み込めばいいのだが、法律の制約があって、現物商品を直接ETFに組み込むことはできない。結局、金等の商品価格に連動する金銭信託の形ならば可能だろうと考え、さらに1年間研究した後、法律上の問題もクリアできたことから、導入に踏み切った。

――いつ頃からのスタートか

米田 制度について機関決定をし,パブリックコメントを行った。聞いている範囲では、特に異論もなく、わりあい関心が高いようだ。3月を目途に制度の施行を予定している。その後、上場申請の受付をし、早ければ4月には第一号が上場するのではないか。

――先行きいろいろなものができるということかと…。

米田 指標の公示性があれば理論的にはできる。商品価格に連動する指標だから,石油でも金利でも可能だし,中国株価指数のような海外株価指数でも可能だ。例えば中国株だったら、A株を日本人が購入することはできない。けれども、A株指数に連動するETFをつくれば、A株を買ったのと同様の効果がある。金や中国株は、投資家からのニーズも高いと聞いている。

――そのような商品の多様化が寄与して、大証の株価が高くなっている…。

米田 株価は長期的にみれば、企業の実態の売り買いだと考えているので、株価が上がっているということは大証に対する期待が上がっているということになる。それは嬉しいことであるが、同時にそれに応えなくてはいけないという義務感も強くなっている(笑)。 ―合理化努力も実っている…。

米田 民間企業に比べると、まだまだの部分はあると思う。ただ、取引所はこれまで、会員制だったので、あまり利益という概念がなかった。合理化する余地は非常に大きかった。合理化はこれからも、経営体として不断にやらなくてはいけないし、株式会社化し上場しているので、株主のために利益を上げることも考えなくてはいけない。しかし、利益を上げることが取引所の第一目的ではない。世の中にある取引ニーズに応え、公正透明な市場をいかに効率的に運営するかといった公益的な面が大きな目的だ。

――取引所の世界再編についてのビジョンは…。

米田 市場のニーズをいち早く捉えて、それに応えていく。その場合、国内だけを見るのではなく、海外にも注目する必要がある。ETFも先物も、アメリカやシカゴで導入され、一定の成果があったから、大証でも取り入れた。海外市場と連携や協力関係を持つことによって、何か得られるならば、やっていこうという考え方だ。現在は、ドイツのデリバティブ取引所であるユーレックスと、話し合いを進めており,商品の相互上場等による連携方法を検討中だ。このように大証の場合、単に連携するだけでなく、市場価値をいかに高められるかという観点で考えて、検討を進めている。国により取引制度も異なるので大変だし、時間もかかるが、粘り強く前進していきたいと考えている。