商品供給体制の充実図る

商品供給体制の充実図る

新光証券 取締役社長 草間 高志 氏



――新光証とみずほ証が来年1月に合併する…

草間 新光証券はご承知の通り新日本証券と和光証券が合併してできた証券会社だが、それ以前にも合併を繰り返しているため、存続会社ベースでみると今年7月は創立90周年、非存続会社で数えると116年の歴史をたどることができる。そして今回のみずほ証券との合併は新光証券が存続会社となるため、90年の歴史がさらに伸びることになる。企業の寿命は良く30年と言われるが、合併後の新たな会社も激変する金融・資本市場を適確にとらえ、大手証券とも互角以上に競争し、30年の荒波を乗り越えていくことになろう。

――波乱のスタートではあったが…

草間 新光証券のスタートの頃を振り返ってみると、新日本証券と和光証券の合併を決めた直後から、ネットバブルが始まり、両社の収益が大幅に向上したことにより、懸案であった過去の不良債権をかなり処理することができた。また、これに加えて日本興業銀行等から640億円の第三者割当増資を受けることができたため、健全な体質に生まれ変わった状態でスタートしたのが新光証券だ。しかし、その後、減損会計をはじめとする新しい会計制度への対応が求められ、ネットバブル崩壊に伴う収益の悪化もあって、再度のリストラを余儀なくされた。その後、わが国経済がデフレから脱却し、新しい時代に入ろうとする中、営業基盤の確立に向けて必死の施策を実行した結果、2003年度には復配を果たし、2005年度には15年ぶりに法人税を払えるようになった。一方、今後の金融界の命運を握るシステムについて、証券界初となる全面オープン系のコンピューターシステム(STAGE)企画・構築し、昨年10月には本格稼動させている。 合併後、通算して600億円超える不良債権を処理したが、資本勘定は足元は回復し、現在は合併後の最高となっている。また、大規模な営業体制の再構築も行い、対面営業の多様なセールスプロモーション体制の整備やオンライン・トレーディング、コールセンター、ラップアカウント、ダイレクトチャネルといった新しい手段も導入してきている。さらに、異業種交流と称して証券仲介業等の契約を使って、他の営業基盤を持っているところとも組んでいこうということにもなっている。

――新日本証と和光証の合併が成功し、次の飛躍へのステップが来たと…。

草間 今年は証取法に代わって金融商品取引法が施行される。そうした法律環境が大きく変わる中で、証券会社がどうあるべきかを考え直す時期にあると思う。また、貯蓄から投資への流れの中で、銀行という証券会社にとって強力なライバルが出現してきており、証券業は銀行が安易に参入できる業態ではないとはいえども、今ある約300社の証券会社がすべてそのまま生き残れるかというと、これまたそんなに甘いものではないと判断しているのも事実だ。このため、昨年から社員には証券業界のストライクゾーンは狭くなると話しており、その縦軸は法律環境対応であり、横軸は証券決済対応で、いずれも証券会社にとって経営的にかなり厳しい対応を迫られてくるとの見通しを伝えていた。

――法令順守(コンプライアンス)をきちんと行なわなければ生き残れない…。

草間 当社では昨年末、10人程の社員をITとセツルメントとコンプライアンスを学ぶために米国に派遣した。コンプライアンスで海外に人材を派遣したのは当社の歴史では初めてのことだ。決済の次の段階であるTプラスワン体制を展望すると、ITによるコンプライアンスの中央管制制御をどのように行なったら良いのかを米国の優れた証券会社から教えを受けたわけだ。また、この3月にも派遣している。コンプライアンスと決済で狭くなったストライクゾーンに力強く球を投げ込める業者は限られており、この限られた業者だけが充分な存在感を示すことができると考えており、我々はそれができるはずだと。できるならば飛び込んでいこうと。後戻りし、縮小均衡していくことは難しいし、許されるものではないと判断したわけだ。

――合併となると、御社の得意分野であるITシステムの技術も活かされる…。

草間 業界最先端のシステムをつくり出した当グループの優秀な技術陣は、このシステムの販売とTプラスワンへの対応で大忙しのところに加え、今回の合併への対応で忙殺されている。しかし、ITシステムへの対応は今や証券会社の生命線とも言えるもので、これがしっかりしていなければ厳しい競争には生き残ることはできないということを技術者に言い聞かせて、明日に向かって頑張ってもらっている。

――みずほ証券と合併することで法人営業が強化される…。

草間 新日本証券と和光証券の合併の直後、リテール営業の部門が大きくなり、法人部門と商品部門が一時的に後退したという感じが出た。このため、私はこれではいけないと考え、ホールセール部門で人を獲得し、またIPO部門に力を入れて得意分野の位置づけにまで育ててきた。また、商品の供給体制も海外拠点を設けるなどの手を打ってきたが、その過程でこの分野は非常に難しいことも分かってきた。リテール営業部門、法人営業部門が中堅企業中心に育ってきている一方で、それに見合った商品供給体制をどう整えていくかが大きな課題となってきたわけだ。

――そこでみずほ証との合併を選択したと…。

草間 他の分野では外資を含めいろいろな会社と提携する選択肢はあったが、商品供給体制の充実を図るにはみずほ証券との合併が良いという判断だ。それよりも、ウェットな自らの企業カルチャーを大切にして、様々な金融機関としっかりとした協力関係を築くことや、みずほ証券と合併することによる信用力の向上効果を最大限に活用することで、みずほ銀行やみずほコーポレート銀行との友好関係を維持しながら、総合証券として新しい時代を勝ち抜いていきたいと考えている。