50周年迎え一段の飛躍へ

50周年迎え一段の飛躍へ

投資信託協会 副会長 金子 義昭 氏



――投資信託の残高はバブル崩壊後、一時期かなり減ったが、今は盛り返してきている…。

金子 現在、公募だけで75兆円、私募を含めると110兆円にまで伸びている。バブル崩壊によって、MMF、公社債投信ともにしばらく低迷していた。しかし、一昨年から株式投信を中心に急激に増え、特に昨年はバブル期を上回る規模にまで回復するなど、記録尽くめの年だった。

――この要因は、日本経済の回復が背景にあるが、もう一つ見逃せないのが銀行窓販だ…。

金子 投信が伸びてきた理由に、1つは株式市場の雰囲気が明るくなる中で投信が注目され、パフォーマンスも良くなったことが挙げられる。2つ目にはご指摘の通り、銀行、金融機関、そして郵政公社など、投信販売チャンネルの多様化だ。そして、これまで老後は公的年金で、と想定していたのが先行き不安で、自ら資産形成する必要性が出てきた。しかし、最初から株式を買うには抵抗があるため、投信から始める人が増加した。関心が高まることで、マスコミが取り上げ、それをきっかけに投信を始める人が増えるなど相乗効果を与えている。今セミナーでは、株よりも投信に人が集まるとも聞いている。

――貯蓄から投資への流れが進めば、投資家保護の問題が大きくなる…。

金子 投信の場合は、大衆が参加する分野なので、法制度にしても、当局の監督にしても規制が厳しい。90年代に大幅な法整備がされて、欧米に比べても遜色ない。このため、あとは業界として、協会の会員として、受益者のためのプロとしての運用ができるか否かが大切だ。投資家にとって、一番困ることは、商品の種類が多く、どのファンドを買えばいいのか分からないこと。分かりやすい説明、評価機関の活用、マスコミで正確な情報を広く伝える、などの対策が必要だろう。

――その点、投信の再分類の方針が発表されたが、実施はいつになるのか…。

金子 まだ、決めていない。分類は株、債券、資産複合型などの利益の源泉を基本としている。それに国などの地域による分類と、投信の仕組みで、注意を要する商品に関しては目印をつけられる分類を可能とした。準備の都合もあるが、できる限り早く実施したい。また、統計に関しても、システムを1年以上かけてすべて入れ替えることで、新商品や投資家に関心のある商品などが簡単に、統計数字を出せ、分析しやすい形にする予定だ。具体的には、現在足りていないコードを増やすことで、新分類で対応できるよう準備している。

――金融商品取引法施行で、投信業が登録制になるが、業者のチェックはどうなるのか…。

金子 当局では、登録の際に最小限のチェックを実施し、事後チェックを監視委が行う。また、協会に加入している業者は安全というブランドイメージを維持する観点からすれば、入会を厳しくするという方法もある。ただ、当局からすれば、登録制にしたので、入り口ではなく、取り組みながらチェックしてほしいという要請もある。ここが今後の課題だ。

――投信で詐欺が発生したとなれば、全体のブランドイメージが落ちてしまうと心配だ…。

金子 投信は貯蓄から投資への中核商品だ。ピンからキリまであるファンドの中でも、規制が厳しい商品として差別化を図り、投資家に安心して投資できる商品だとする投信のブランドイメージを守らなくてはならない。そういう意味で、これからが本当に大変だ。

――日証協では会員審査を厳しくするとの話もあるが…。

金子 私たちもこれから入会審査のチェック体制を本格的に検討しなくてはならない。もし、悪質な業者が出てしまったら、投信全体のイメージダウンになる。せっかく育ててきたものが台無しになってしまう。

――その他の法整備に関してはどのように考えているのか…。

金子 投信のファンド規制は、投信法がそのまま残っているので、実質的には大きく変わることはないと思う。ただ、登録制になり、自主規制機能をどのように進めていくのかが課題だ。当協会では業界団体として、投資家を保護するため、税法関係、制度関係の面で投信が安心して投資できる商品にするための制度改正を求めており、現時点で日証協がつくるような自主規制委員会の設置は考えていない。

――外国投信に比べて、日本の投信は運用の規制が多く、結果としてファンド・オブ・ファンズで運用する形になっているとの指摘がある…。

金子 ファンド・オブ・ファンズが増えている背景には、分散投資拡大に利点があることや運用の効率化等があり、規制がその理由ではないと思う。ただ、一般的に規制について言えば、今のルールがベストかどうかは分からないので、時代の変化、投資家の質の変化を見ながら、見直しを検討していく必要があろう。確かに、可能な限り自由なほうがいいが、ヘッジファンドのようにリスクを大きくする可能性もある。一般投資家が参加する商品には、限度がある。レバレッジを効かせるのは問題だが、世の中の流れ、投資家の知識レベル、リスクの許容度に応じて、さまざまな商品があってもいいと思うので、運用ルールの変更の必要が出てくるかもしれないが、適切な商品が適切な人に売られるかを考えなければならない。今のところ、決定的に直さなければならないような問題はないと思う。

――30兆円ある私募ファンドとは…。

金子 自由度に若干の違いがあるが、公募投信のルールに近い形の主に機関投資家向けのファンドだ。私募ファンドが伸びている理由の一つは、機関投資家の中で最も大きい年金基金の資金が私募投信に入っていること。さらに金融機関の資金運用や変額年金保険関係の資金が私募投信に流れているもある。

――協会から見て、ヘッジファンドはどういう存在なのか…。

金子 プロを相手にした商品であれば、協会がとやかく言う話ではないが、ヘッジファンドが一般大衆を相手にするようであれば、投資家保護の観点から言っても、金融商品間のバランスから言っても、開示規制など、他の金融商品と同じ規制をかけるべきだと考えている。一般投資家に投信とファンドが一緒と考えられては困る。

――50周年を迎えて、協会の新年度の方針は…。

金子 大きくは2つ。1つは広報、啓発活動。全国各地でのセミナー実施や講師の派遣の拡充を考えている。金融教育面では、投資顧問業協会と合同で実施している大学での金融講座を増やしたい。また、システムの構築にあわせ、ホームページの整備の検討を進めたい。特に基準価格検索システムが使いやすくなるような改良に力を入れたい。2つ目は、制度の改善。有識者を集め、例えば、現状認識と投信の未来像、将来に向けての課題と対応策、投信の社会的な意義など、投信に関するビジョンをまとめてもらう予定だ。また協会のあり方を検討し、方針を示したい。さらに来年度は厚生労働省で検討中の確定拠出年金の制度改善を働きかけていきたい。このほかにも50周年イベントの実施や、来年度初めに東京で実施されるアジア・オセアニア会議の準備もあり、少ない協会職員と力をあわせて、大きな課題をこなしていきたいと考えている。