ゲートキーパー業務からヘッジファンドへ

ゲートキーパー業務からヘッジファンドへ

大和ファンド・コンサルティング 代表取締役社長 大井 正康 氏



――「大和ファンド・コンサルティング」の業務内容は…。

大井 昨年10月、大和総研で行っていた年金運用コンサルティング業務と投信評価業務を独立させ、「大和ファンド・コンサルティング」を設立した。独立に合わせて、2つの業務に加え、第三の分野として、ファンド・オブ・ファンズに係る運用助言、いわゆるゲートキーパー業務を開始した。

――大和総研から分離・独立した理由は…。

大井 現在、様々なファンド・オブ・ファンズが出てきており、その運用助言を行うゲートキーパー業務は、これから大きくなってくる分野だ。このため、ゲートキーパーを大和総研内で行うよりも独立したほうが、より自由な活動が可能となると考えた。また、利益相反といった問題にも対処しやすく、独立したことで社員の目的意識も明確になる。

――企業規模は…。

大井 社員は当初51人だったが、現在は、派遣などを含めて、60人ぐらいになっている。設立と同時期に、大和投信がファンド・オブ・ファンズを設定したが、そのゲートキーパー業務を取り扱い、順調な滑り出しとなっている。

――おすすめのファンドは(笑)…。

大井 様々なカテゴリーがあるので、一概にこのファンドが良いとは言えない(笑)。ただ、人気のあるファンドとしては、ファンド・オブ・ファンズ等、運用対象を分散するタイプが増えてきている。いわゆる「バランス型だが、当社が投資助言を行っている「ライフハーモニー(ダイワ世界資産分散ファンド)」は成長型、安定型、分配型の3つの選択肢がある。それぞれの特徴は、成長型は株の比重を、分配型はイールドの良さから外債の比重を、安定型は日本の国内債券の比重をそれぞれ大きくしている。いずれも、投信の基本である分散投資に立って運用されており、投資家からの人気が高い。

――安定型は今、調子が悪いのでは…。

大井 調子が悪いというよりも、成長型、分配型に比べて人気度は低い。ただ、運用する中でマーケットが大きく崩れた際に、3つの間で自由に入れ替えが可能となっているので、例えば、株式市場がいいので、エクイティ中心の成長型に投資をしたところ、マーケットが荒れて、エクイティが危ないとなれば、安定型に手数料無しで変更することができる。また、今は外国株やエマージング株、外国の債券、REITなどのファンドのリターンが良くなっているが、上昇ピッチが速い。また、去年は出遅れてしまった日本株も、今年は割安感が出てきており、投資家が迷っている感じを受ける。このため、分散型のファンドに人気が集まってきている。

――投信の評価機関が発達することで、投資しやすい環境となる…。

大井 投信は単純比較ができない。ファンドはリスクとリターンが一体となっているため、リターンが良くても、リスクをどこまでとっているかによって、評価は変わってくる。それでも比較するとすれば、同じ類型のファンドを、異なった期間、例えば3ヶ月、半年、1年、3年と期間ごとに見ていかないと、正しい比較をしたことにはならないから、評価は難しい。

――投信の販売が伸びている現状では、評価の情報は注目度が高まっているのでは…。

大井 確かに需要は拡大している。評価機関の評価を受けたファンドを買うことは、運用者にとって説明責任という観点からも重要な要素だ。

――他社と評価方法で違いがあるのか…。

大井 当社では、特に定性評価に力を入れている。通常、運用成績等の数字での評価は定量評価と呼ばれている。この定量評価は、ある程度投資家自身で調査できる。多数の統計を入手できるからだ。我々が力を入れている定性評価とは数字に表れない、例えば、そのファンドの性格や性質、運用会社の経営基盤や運用体制等を調査する。これに当たっては、運用会社のファンドマネージャー等にインタビューも行い、運用体制や運用哲学をヒアリングし、その方針や哲学が健全であるか、ブレがないか、運用する上において、リスク管理が適切にできているか、など、多岐にわたる項目を調査している。こうした定性評価を行うところは多くない。

――年金運用コンサルティング業務は…。

大井 当社では確定給付年金のプランスポンサーに対し、各種のコンサルティングサービスを実施している。加入者から託された年金資産を、効率的に運用することはプランスポンサーの使命だ。資産運用に係わる意思決定支援や運用機関選択に対するアドバイスを通じ、プランスポンサーの使命を全うするためのサポートを行っている。大和総研時代より地道にコンサルティング実績を積み重ねた結果、現在では日本を代表する年金コンサルティングハウスへ成長したと自負している。

――ゲートキーパー業務は…。

大井 複数のカテゴリーの中から選び出された高い評価のファンドを複数投資対象とする、ファンド・オブ・ファンズの活用がさかんになってきている。このファンド・オブ・ファンズに組み込む投信を選択し、コンサルティングするのがゲートキーパー業務で、国内外問わず、投資家のニーズに合わせて設定され、今後さらに拡大していく分野だ。

――これらの業務のリスクは…。

大井 投資家や運用会社に勧めたある投信が、何らかの要因で投資家に大損を与えてしまった場合は、やはり厳しい批判にさらされる。特にエマージング株は注意している。例えば、先日の中国市場に端を発した株価暴落にも神経を使った。実際、何が起こったのか、組入れ投信は大丈夫か、など調査し、ファンドマネージャーからのコメントを公表するなど、情報の入手、伝達をすばやく行った。

――これからの業務で目指しているものは何か…。

大井 大和総研時代から持っていた年金コンサルティング業務と投信評価業務を伸ばしていくとともに、ファンド・オブ・ファンズのゲートキーパー業務を強化し、ヘッジファンドの分野も手がけていきたい。