参議院議員 中川 雅治 氏

参議院議員 中川 雅治 氏

環境問題、国民の意識改革が急務



――7月の洞爺湖サミットを控え、環境問題に対する日本の対応が注目されている…。

中川 2050年までに二酸化炭素の排出量を半減させましょうというのが世界の合意になっているが、これは当然のことといえる。というのは、現在、人類が排出している二酸化炭素の半分しか自然界は吸収できていないからだ。つまり、二酸化炭素の排出を半減するということは、その時点で、人類が排出する二酸化炭素の量と森林や海面などの自然界が吸収する二酸化炭素の量が均衡するということで、そこでようやく地球温暖化がストップする。

――半減できなければ、地球温暖化は進む一方だ…。

中川 その通りだ。地球温暖化が進めば、我々人類が地球上に住めなくなってしまう。これからも地球に住み続けるためには、二酸化炭素の排出を半減するということは、絶対に達成しなければならない目標といえる。しかし、世界共通の目標とはいえ、これから経済が伸びていこうとしている途上国に「半減だ」といってもなかなか難しい部分もあるため、日本を含めた先進国が7割8割、或いはそれ以上に二酸化炭素を削減しなければ、世界全体で「半減」という目標を達成することはできない。

――日本は率先して二酸化炭素削減を実現しなければならない…。

中川 ここまでくると、二酸化炭素の排出を極力減らすとかいう範疇ではなく、むしろ“脱二酸化炭素”というくらいの革命的な技術開発に向けて、日本はもちろん世界全体が真剣に取り組んでいかなければいけない。そもそも地球温暖化というのは、人類がさまざまな科学技術を発達させた結果起こってきたものだから、やはり科学技術の力で克服していかなければならないと考えている。その意味では、技術開発が大事だ。例えば、電力にしても、石油や石炭を燃やして造るのではなく、原子力、または太陽光や風力などの自然エネルギーを抜本的に拡大し活用していく時代にきたといえる。その中でも、無限にあるのは太陽光だ。太陽光の場合は夜間のための蓄電設備とセットできれば効率的になるので、これからはリチウムイオン電池の蓄電設備とセットにした分散型の発電施設をどんどん増やしていくという方向性が考えられる。また、石油を使って発電する際にも、二酸化炭素を液状化しパイプラインで海底に埋めるなど、さまざまな角度から対応していくことが求められる。これらは技術的には可能だが、莫大な費用を要するため電力会社の負担だけでは到底まかないきれない。こういった背景を勘案すると、国民全体で負担することも覚悟していかなければならないだろう。

――二酸化炭素の排出量が大きいといわれる自動車についてはどうか…。

中川 現在はハイブリット車の先をいく電気自動車が世界的な流れになっている。こちらもリチウムイオン電池で蓄電するタイプで、今後さらに開発が進むだろう。その一方で、日本はすでに技術立国として多くの技術を持っているので、その技術をベースにさらに高めて世界に普及させていくことが求められる。また、技術開発に関しては、各国が競争する部分と協力していく部分があると思う。共同開発が必要な技術もあり、日本はそういったところを率先して提唱していかなければならない。これは、7月に開催される洞爺湖サミットの課題の一つでもある。

――洞爺湖サミットに向け、ほかにはどのような動きがあるのか…。

中川 京都議定書の後の枠組みについて議論されている。これは、すでに国別の二酸化炭素削減総量目標をどうするのかという議論が出ているなか、2050年までに半減することを考えた場合、それでは2030年までにどうするのか、2020年はどういう目標にするのかというところが焦点だ。EUは2020年までに20%削減するという目標を打ち出していることもあり、日本がリーダーシップを発揮するということであれば、日本としての削減目標をしっかりと示すべきだという意見も強く出ている。

――目標をはっきりさせなければ、どういった行動をとればいいのかが明確にならない…。

中川 確かに目標はきちんと定めるべきだが、その定め方は公平でなければいけない。日本は率先して大きな目標を提示していく一方で、現時点でエネルギー効率の高い国であることを認めてもらうことも必要だ。今後、削減目標を立てる際には、日本の特定の分野の産業が不利になって競争力を失うということにならないよう、国益を考慮した交渉を行っていくことが求められる。公平でありながらも、日本が世界をリードしていくという積極的な姿勢を貫くことが望ましいだろう。

――京都議定書は達成できるのか…。

中川 現状としては、6%削減しなければいけないといわれた1990年よりも二酸化炭素の排出量は6.4%増えている。つまり、12.4%削減しなければならないわけで、並大抵のことではないという実感はある。対策案としては、森林吸収による3.8%の削減や、CDMなどの京都メカニズムを最大限活用していく。その一方で、現在、京都議定書目標達成計画の見直し作業を行っている。これはまもなく公表されるだろう。また、近いうちに地球温暖化対策推進法の改正を政府提案で出し、より進んだ対策を打ち出していく方針だ。そうしたことをひとつひとつ積み重ねていかなければ、京都議定書の達成は難しく、達成するためには、先ほどの技術開発に加えて国民の意識改革が必要不可欠といえる。実際、ここ数年で産業部門の二酸化炭素の排出は減っているのだが、運輸部門、オフィス部門、家庭部門の排出量が2〜4割増えている。今後はより一人ひとりの意識改革が求められ、もっといえば、一人ひとりの意識の積み上げなくして、京都議定書の達成は不可能ともいえるだろう。一方で、かつての石油ショックの時には、石油の消費量を2割カットできたことを勘案すると、国民に対する意識改革の啓蒙が非常に重要だ。

――排出量取引は日本ではあまり進んでいないようだが…。

中川 これはキャップ&トレードの排出量取引で、各企業なり事業所に対して国が排出量の上限を決めて、その決めた排出量を余らせたら市場に売れる、反対に足りなくなれば市場から買いなさいという制度だ。EUでは今年から本格的にスタートした。米国の上院でも排出量取引導入の動きがあって、民主党、共和党どちらの候補が大統領になったとしても新政権のもとでは本格的な排出量取引を開始する方向のようだ。こういった背景をみても、排出量取引はひとつの時代の流れともいえるが、その一方でキャップのかけ方が果たして公平にできるのかという意見もある。国内における公平さと、グローバルな視点からみた公平さの両方が求められ、公平なものでない限り、制度の緩い国や、制度のない国に企業が移転をしてしまうという懸念もあり、なかなか難しい。自民党でも環境調査会と石油等資源・エネルギー調査会が合同で排出量取引の勉強会を始めたところで、導入に関する議論は今後も続くだろう。