大和住銀投信投資顧問 代表取締役社長 大村 信明 氏

大和住銀投信投資顧問 代表取締役社長 大村 信明 氏

ブティック的な運用会社としてさらに前進



――最近の経営環境は…。

大村 昨年から市況が悪くなったことで、我々のような資産運用会社も以前と比べると厳しい状況になりつつある。純資産残高は去年の夏頃をピークに減ってきており、我が社においては今年の3月末で約5兆2千億円。前年は6兆1千億円で、その前の年が5兆2千億円だったから、丁度2年前に戻った状態だ。理由は日本株と為替の動きによる時価変動によるものだ。我々は日本株の運用が約5割を占めるため、1年前に1万8千円だった株価が現在の値になると純資産残高は減ってくる。投信においては外国証券を組み入れたものが多いため、円高に動いた為替の影響も受けている。顧客が減った訳ではなく、全体としてネットでは資金は流入超であった。

――そのような中で、今年度は何に力を入れていくのか…。

大村 パフォーマンスを伸ばすことが最大のポイントだ。運用資産はそのパフォーマンスについてくるものと思っている。我々は資産の約75%がいわゆる機関投資家(国内の年金基金や法人、海外の年金、政府系の基金等)であり、残りの約25%が公募投信となっている。大和住銀はもともと機関投資家からの運用委託業務から始まり、ここで磨いた運用力の技術を投信に生かしてきたという歴史がある。長期的に、かつ安定した超過収益を実現できるようなポートフォリオ運用を目指しており、今年もさらにその運用力に磨きをかけていきたい。

――日本株のこれからは…。

大村 ここ1年程、日本の株は売られ過ぎだった。そのため現在では、世界経済が戦々恐々としている中で逆に良くなってきている。しかし、そうはいってもあまり楽観視はできない。世界の市場はまだまだ荒っぽい動きをしており、この動きはしばらく続きそうだ。相対的に見て日本の株が売られすぎた分だけ上がってきているだけともいえる。海外の投資家からは「日本の成長戦略がみえない。政治が混乱している。日本企業のROEは低い。コーポレート・ガバナンスがなっていない。」などと指摘されることもある。しかし、そんな中にもいい日本企業はたくさんある。しっかりと収益をあげているにもかかわらず時価が大きく簿価を下回っている、いわゆるPBRが大きく1を下回っている企業が数多くある。我々は現在そういった割安の株を粛々とポートフォリオに組み入れていく時期ではないかと考えている。

――昔は株主軽視といわれていた日本も、段々と配当性向は高くなっている…。

大村 いわゆるグローバル化、すなわち「米国化」がどんどん進んでいるわけだが、果たして米国の手法がどの国にも当てはめられるものなのか、この辺の議論はある。日本は日本独自の考えを持ってしっかり経営していけば、それは認められるものではないかと思うが、一方で世界の運用者は、日本は世界第2位のGDPを誇る国で成熟国でもあることから、欧米と同様の企業経営で然るべきと考えていることも事実だ。日本の企業は徐々に配当も上げ、自社株買いも行うようになってきた。しかし、いわゆるコーポレート・ガバナンス面ではまだまだだ、との指摘は多い。ドイツなども日本と似たところはあるが、その改善スピードははるかに速い。日本は改善のスピードが遅すぎるというのだ。

――運用サイドから見た最近のM&A防衛策等をどのように考えるか…。

大村 確かに外から見て閉鎖的だと思われてもしょうがないような面もあると思う。いろいろな防衛策をつけることによってその企業が投資に値しないと思うかどうかは別として、それを嫌気したり、それが障害になったりすることはあると思う。日本のコーポレート・ガバナンスはまだまだ改善されるべきで、改善されれば企業価値はもっと上がると期待して投資している投資家も多い。そのような投資家がガバナンスの改善を求めてくるのは当然といえるわけだが、それに対してあまりにも頑なに扉を開かない姿勢がある。そこに業を煮やしてきている投資家がいるということだ。雇用制度、報酬制度、カルチャーなどの違いはあるわけだが、やはり、外から見ると経営者の保身にみえることはある。

――日本のディーラーは横並びで、あまりリスクもとらず上手くいかないという声もあるが…。

大村 これも、雇用制度や報酬制度等の違いが、欧米との比較上からそのような指摘の一因になっているかもしれない。我が社の場合は、長期、安定運用を目指している運用会社であり、商品としてはリスクの高いものを取り扱うことはあるが、短期的な利益追求はしない。報酬体系は、マーケットでのレベルを踏まえつつパフォーマンスも充分反映させているが、スタープレイヤーをつくったり、また、それに依存するような体制ではない。グループ制を導入し、その中で人材を養成し、継続性をもって運用を行っていくことが重要と考えている。一任勘定のお客様からは、そういったところも評価していただいているのではないかと思っている。

――金融商品取引法改正で運用方面において何か問題点は…。

大村 投資信託においては相場の影響もあり、特に銀行の販売などでダブルパンチを受けたような状況だったが、機関投資家の分野においてはそんなに大きな影響はなかった。金商法施行にあたっては投資家のプロ・アマの認定をしなくてはならず、そういった対応で若干手間がかかった部分はあるが、それが問題で不便だとか、逆に便利になった、などと感じることはない。金融庁も言っているように、ルールはルールであるが、その他にやはり原理原則、言ってみれば、皆しっかり常識をもって行動せよということだと受け止めている。

――今後の抱負は…。

大村 きちんと運用力を磨いて競争に勝っていくということにつきる。我が社の性格としては、世界中に進出して他のグローバルな運用会社と真っ向から戦うというものではなく、日本の株や債券を中心に、一種のブティック風な会社というイメージをキープして粛々とやっていきたいと思っている。環境の変化に上手く対応しながら、運用力のクオリティを向上させていくことを常に考えて前進していきたい。