ラオス計画投資大臣 スリウォン・ダラウォン 氏

ラオス計画投資大臣 スリウォン・ダラウォン 氏

日本の民間投資に期待



――日本政府からのラオスへの政府開発援助(ODA)は多いが、民間投資となるとまだまだ水準が低い。ラオス政府は日本からの民間投資を促進させるために具体的にどのようなことを考えているのか…。

スリウォン まずこの場を借り、日本政府および日本の国民の皆さんに、ラオスの経済政策、国を発展させるために資金援助をしてくれたことに感謝したい。また、これらの政府援助および協力支援と並行して、民間分野での日本からの投資も活性化させたい。今回の来日はまたとない機会であり、これからラオスの投資を促進させるために皆様にアナウンスしたいことがある。
ラオス政府と日本政府は今年1月、投資保護協定を結ぶ運びになった。今回、ソムサワット副首相が来日し、日本の外務省と交換公文を交わすことになり、協定の実行が可能となった。それとともに、ラオス国内では、投資促進・投資家により便利で投資しやすい環境にするため、政府は投資に関する政策、投資受け入れの法整備、申請手続きの短縮化など、様々な面で努力をしている。投資家の皆さんがラオスに安心して投資できる環境を作ることを大前提に政府は努力している。

――なるほど…。

スリウォン さらに、ラオスは地域協力を促進する上で、特にラオスの経済・市場の強化で、近隣諸国またはASEAN(東南アジア諸国連合)、中国、日本などとの連携を強め、地域開発の面でラオスはタイ、ベトナム、中国市場に直接リンクできる体制を構築するため、数多くの共同プロジェクトに取り込んでいる。代表的なプロジェクトとしては大メコン地域(GMS)開発、東西回廊に関連するプロジェクトも手掛けている。中国、ラオス、タイを結ぶ南北回廊の共同開発にも力を入れている。その成果はラオスの経済発展にも寄与した。ここ数年で外国投資が急増した。現在、ラオスに一番多く投資している国は中国。ベトナム、タイ、フランス、日本と続く。日本からの投資は増えてきた。これはラオスにとり非常に喜ばしいことである。これらの環境のもとで、今まで多くの援助・協力してくれた日本政府と国民、日系企業のラオスでの投資がより早いスピードで促進されることを私は願っている。

――最近、中国企業の進出が著しいと聞く。日本企業とのバランスは…。

スリウォン ラオス政府としてはすべての国、投資家に門戸を開放している。ただし、近年、中国、ベトナム、タイに最も多く投資してもらっている。しかし、最近、日本からの投資もかなり速いスピードで増加しているようだ。今になって、やっと日本の投資家、人々がラオスのことを知るようになった。その理由の一つとして、ラオス政府が2007年1月から日本人の入国ビザを免除したことが挙げられる。15日の滞在ならビザなしで入国できるようになった。さらに、今回、投資・貿易を促進させるための条約が結ばれることによって、将来の日本からのラオスへの投資は加速するだろう。ラオスにおける外国投資の割合の中に占める日本からの投資も、ODAに対し民間投資が少ないというアンバランスな状況から脱却するだろう。バランスが取れたものになると私は思っている。

――水力発電の他に豊富な天然資源がある。世界的なエネルギー価格が懸念される中、ラオスの天然資源に注目が集まる。ラオスの天然資源の魅力とは…。

スリウォン 天然資源が豊富といったラオスのポテンシャル(可能性)については皆さん、ご存知だと思うが、実はラオスの優位性の一つに、人口と比較して国土の面積が大きいことがある。これらの土地で食料の生産、森林材の育成ができる。農産物の栽培に適切な土地だ。世界的な食料危機が叫ばれる中、食料品価格は高騰している。農業分野でラオスに投資することも可能だ。そして、ラオスには水力発電に利用できる多くの川が流れている。加えて周知の通り、ラオスの優位性を示すもう一つの要素が豊富な鉱山資源だ。現在、ラオスでは開発または調査が終わった段階で、様々な鉱床が見つかっている。金、銀、銅、鉄、錫、カリウム、ボーキーサイトなど様々な天然資源が発見されている。こうしたラオスの天然資源に投資してくれる投資家を大歓迎する。日本からの投資家の興味を沸かせるのではないかと思う。そのうえ、ラオス政府は政策の一環として、これら天然資源での優位性を大いに活用して経済発展の牽引力にさせたいとしている。

――天然資源の宝庫だと…。

スリウォン こうしたポテンシャルの活用を通し、ラオスは2020年までに最貧国、発展途上国から脱却することを目標に掲げている。目標達成には民間分野での途上国、先進国の協力支援が欠かせないことを我々は認識している。とりわけ、日本の民間部門は大事な力の一つである。
実績を挙げれば、現在の鉱山物、特に金、銅、石炭からの収入はラオスのマクロ経済をかなり安定させている。金、銅、石炭は輸出している。これにより、現在のラオスの国内総生産(GDP)は年率約8%の成長を遂げている。もし、これら天然資源がなければ、この成長率を維持することは現在のラオスの状況を考えれば、かなり困難だったに違いない。

――世界最大のボーキーサイトの鉱床が発見されたと聞いたが…。

スリウォン まだ、フィジビリティ・スタディ(事業化の可能性を調査)中なので発見された鉱山が世界一の規模とは言い切れない。まだ、どのくらい埋蔵されているか、はっきり分からない。レポートが完成次第、公表する。現在、ある程度の数の企業に調査・分析してもらっている。その中には、日本の著名企業もある。今、その企業はラオス政府との合同調査を実施するための覚書(MOU)を交わす段階にある。

――農業をやる企業の進出も歓迎するということか…。

スリウォン その通りだ。農業をやる企業の進出を大歓迎する。特に、農業開発を通し、労働人口の最も高い割合を占める農民に、従来の自然依存型(自給自足)の農業生産から商品化につながる生産に発展できる手法を学ばせる。これによって、農民は貧困から脱却することもでき、国の経済発展に貢献できるようになると信じている。

――外国人は農地の私有化ができるのか…。

スリウォン いろいろなやり方がある。会社がラオスに投資して政府から土地を借りる。または直接、土地を所有している現地の農家と契約を結び土地を借りることもできる。土地を借りずとも、一緒に協力する形で農産物を生産することもできる。外国人の土地所有は認められないが、土地を有効利用するための様々な方法がある。

――2010年にラオスには証券取引所ができると聞いている。取引所開設にあたり日本に対し何を望んでいるか…。

スリウォン 我々は ラオスにとって、証券取引所がいかに重要で必要か、よく理解している。設立に向け様々な努力をしている。2010年の取引所開所を目指し、いろいろな研究、先行の優れた取引所から学びながら、より良い取引環境を作るための法整備を行っている。新たにラオスの証券取引所が誕生するにあたり、豊富な経験を持つ日本企業にぜひ、積極的に参入してもらいたい。ラオスの取引所が近隣諸国の取引所のように長く続けられるように、ラオスの株式市場が安定した取引ができるようになることを望む。日本の民間企業、とりわけ金融、保険分野などの会社はラオスの投資分野を円滑化させる、最も大事な役割を果たしてくれると思っている。今挙げた分野に関連する企業がラオス取引所に進出すれば、初期の段階から株式市場は円滑に運営され、大いに助かる。

――証券取引所開所にあたり、法整備など様々な準備が必要と考える。どこの証券取引所、市場をモデルにしているのか…。

スリウォン 現在、調査段階だが韓国の会社に依頼して調査をやってもらっている。もちろん、具体的な資料作成する段階で、幅広い範囲で、多くの国々の様々な会社の意見を聞かせてもらいたい。

――私どももお手伝いできることあれば、どんどんお手伝いさせて頂くので何なりと申し出て欲しい…。

スリウォン どうもありがとうございます。多くの人々から色々な意見を頂くことによって、私どもの証券取引所をより短い期間で設立でき、ミスも削減できると思う。そのため、もうちょっと私たちの準備が進んだ段階でぜひ、ご支持、ご意見を伺いたい。

【ラオスの市場経済化&天然資源】

1975年に王制を廃止して誕生した社会主義政権は産業の国営化と集団化を通じた国家建設を進めてきた。1986年、「チンタナカン・マイ(新思考)」と呼ばれる経済改革を導入、自給自足の自然経済から市場経済への転換を図る経済改革を進めてきたが、長年にわたり、一人当たりのGDP(国内総生産)は500ドル程度の低水準だった。貿易赤字にも苦しめられてきたが、豪州の採掘会社による金、銅の収入で2006年度に初めて貿易黒字に転じており、今後は市場経済の導入の一環として、証券取引所の創設を目指している。