ラオス首相府相兼国家観光庁長官 ソンポン・モンクンビィライ 氏

ラオス首相府相兼国家観光庁長官 ソンポン・モンクンビィライ 氏

日本人観光客の拡大が課題



――ラオス観光促進のためにどんなことに取り組んでいるのか…。

ソンポン ラオス各地への出張を頻繁に繰り返している。各地域の観光担当者と問題点は何で、何を解決すべきかを話し合う。観光促進のための法律改正なども私自らが各自治体に出向き発表し説明している。県の自治体が観光業の運営、経営を円滑にできるよう理解するよう頻繁にコミュニケーションを取っている。

――ラオスの主な観光資源は…。

ソンポン 近隣諸国と比較してもラオスの天然観光資源は豊かだ。現在、緑が豊かな国と言われる。国土の約40%以上が森林だ。森林2カ所が様々な珍しい動物・植物の保護区と指定されており、保護されている森林は約300年以上の長い寿命を持つ。また、川も素晴らしい。メコン川とその支流が数多くラオス国内に流れ注ぐ。メコン川の全長は約4500キロ。チベットから始まり、中国・雲南、ラオス、タイ、カンボジア、ベトナムと流れ込む。ラオスの国境はかなり長い距離をメコン川と接する。メコン川と一番長く国境を接しているのがラオスで1500キロに及ぶ。

――豊かな自然が観光資源であると…。

ソンポン また、その支流を使って水力発電することも可能だ。全体で2万5000メガワットの発電能力があるが現在はその一部の約10%しか開発されていない。ラオスは海が無い内陸国だ。川の支流を堰き止め、発電所を作り、出来上がった人工湖を観光地として開発することが可能だ。そして、ラオスの地域の特徴として、メコン川沿いの部分が平地になっていることが挙げられる。これらの土地に人々が住み、農作物が開発される。その一方で、高い山、高地もある。北部はほとんどが高地だ。高地と平地の間に位置する高原も海抜1400メートルくらいある。高原には季節があり気候も素晴らしい。北部から南部まで繋がる山脈。国境の周辺にまで聳え立つ山。山があって川があって平地があって、欧州の人たちにとって、スイスのアルプスのように見えるらしい。


――アルプスもあると…。

ソンポン 山には自然発生した洞窟も多い。カムアン県周辺にはセメントの原料にする山がある。だが、そこは雨が降ると、どんどん熔けてしまう。石灰山だ。そういった山々がカムアン県には多い。洞窟の中の12キロほどの川を船で下り、また、向こう側に出たりする。また、その他にも滝が多い。特にメコン川の南部の滝はすごい。川イルカが生息している。これら決められた観光コースの他に特徴のある気候を持つ地域がある。文化的な魅力に富んだものもある。ラオス北部のルアンパパーンは昔の王都だったが、街全体がユネスコから世界遺産に指定された。ルアンパパーンは英国のある雑誌のアンケートで、「最も訪れたい観光地」として、2006年から08年まで3年連続1位にランクされた。特定の建造物とかでなく、ルアンパパーンは街全体が世界遺産に指定されているのが特徴だ。 なぜ、街全体が登録されているかというと、文化、人々、建物及び街全体の構造がよく練られている。そういったところが評価され、ユネスコから文化遺産に指定された。訪れる人もリピーターが多い。

――首都のビエンチャンは…。

ソンポン ビエンチャンにはタートルアン(黄金の仏塔)。南部にはクメール文化の遺跡であるワットプーがある。ワットプーが建造されたのは9世紀、カンボジアのアンコールワットが建造されたのが14世紀だから500年も古い。ワットプーも世界遺産に指定されている。ラオス国内には48の民族がいる。現在、560万のラオス国民として仲良く共存している。彼らは独自の言語を持っているが共通語としてラオス語を使っている。ラオスのエコツーリズムも話題になっている。ラオスにとり可能性を秘めた観光資源だ。少数民族はどのように暮らしているのか?そういったものを探るツアーもある。今人気を集めつつあるのがトラッキングだ。冒険的なところが受けているらしい。村に行きホームステイをする。食事も村人と同じものを食べる。ガイドも村のことを一番知っている人が務めるので、村の特徴、珍しい動物を紹介する。1泊2日から2泊3日といろいろなコースがある。象にも乗れるし船にも乗れるし、冒険好きにはお勧めだ。観光は各地方にとり、外貨の獲得に繋がる。村人はどうしたら、より多くの観光客を呼び込めるかを考える。まず、村を綺麗にする。村がきちんとした特徴を持っているなら、みんなが良く訪れるようになる。

――2007年、約162万の観光客がラオスを訪れたが、日本人観光客は3万人にも満たなかった。日本人観光客を増やす具体策は…。

ソンポン 2007年は前年比34%増となる162万人の観光客がラオスを訪れた。この増加に驚いた。やはり、昨年、2万9700人の日本人が訪れたが、これも前年比20%の増加だ。数少ないと考えるかもしれないが、1年で20%の上昇だ。日本人に対しては2007年から入国査証(15日間)を免除している。昔からラオスは日本を良き友人と思ってきた。また、ラオス国民およびラオス政府の持つ日本のイメージは良く、良いパートナーと思っている。日本政府は毎年ラオス政府に対し、約80億円のODA(政府開発援助)援助をしている。今、ベトナム、ラオス、カンボジアの3カ国が共同で観光ルートを構築しようとしている。残念なことに日本からラオスへの直行便がない。

――いつごろ直行便はできるのか…。

ソンポン 先ほど、国土交通省の副大臣と会見して、この件で協力をお願いした。近い将来、実現できたら良いなと思う。日本の投資家がラオスにどのくらい投資してくれるかにかかっている。観光部分でも見直し、採算が取れるようであれば、日本の直行便も近い将来に実現するだろう。日本からラオスに行くには乗り継ぎが必要となる。今は乗り継ぎが良くない。バンコク経由だと乗り継ぎの待ち時間が6時間もある。タイ政府及び関係者と、待ち時間が2時間ぐらいに短縮できないか交渉している。737型機などの小さい機種を使って、日本〜成田間を飛ぶことが可能かどうか調べてみたい。小さな機種ならば満席にすることも可能だろう。また、チャーター機による観光も検討している。たった今決定したことを、この場を借りて、ご報告しておきたい。2009年2月12日に、初の成田〜ビエンチャン間のチャーターフライトが飛ぶ。日本航空が飛ぶ。記念すべき初のイベントだ。

――日本人観光客を増やすための具体的な案は…。

ソンポン ラオスのことをもっと良く知ってもらえるよう、もっとPRが必要。初のチャーター便の実施など、マスコミがもっとラオスを取り上げてくれるのであれば、ラオスの注目度は上がると思う。

――大臣のお話をお聞きして、私もぜひ、ラオスに行きたくなった。ぜひ、ラオスのことを日本人にどんどん紹介して欲しい…。

ソンポン 日本人がノー・ビザで入れるということを改めて強調しておきたい。新聞でもぜひ、この点を強調して頂きたい。ラオスだけでなく、同時にベトナム、カンボジアの観光も可能だ。

――ところで今回の来日の狙いは…。

ソンポン ラオスからこれまでにたくさんの要人が来日しているが、観光分野のトップが来日するのは今回が初めてだ。日本との観光分野での協力強化に繋がればと思う。その他に、日本アセアンセンターの役割を評価したい。ラオスの観光にとり、プロモーションなどを通し、一役買ってくれた。今回もアセアンセンターの赤尾信敏総長に我々の謝意を伝えると同時に、今後の協力関係強化について話し合った。また、ビックサイトで行われる観光関連のイベントで初めてラオスのブースを出した。日本の旅行会社はラオスに対し何を求めているのか?どんな要望があるのか?旅行会社の関係者約80人を招き、22日、在京ラオス大使館でフォーラムも行った。ラオスと日本、双方のマーケットのニーズが何なのか、もっと分かり合えれば良いと思う。いくつかの会社はラオスの広告を取り上げている。また、近い将来、日本の旅行業関係者をラオスに招き、ラオスの観光についてより理解を深めてもらいたいと思っている。現在、ラオスにとり、政治的な安定、治安はアジアで最も良い状況だと思う。観光客にとっても安心できる場所でリピーターになりたい人も多いのではないか。

――日本人観光客は鳥インフルエンザの影響を懸念しているが…。

ソンポン 鳥インフルエンザがラオス国内で発生したと報道され注目されたが、その後検査したら、鳥インフルエンザではなかった。不衛生の状況で家畜、鳥が死んだ。以前、タイ、カンボジアで鳥インフルエンザが発生したが、国連の対策に基づいて、すべて対応した。日本政府も技術支援を通し、対策を指導してくれた。現在のラオスの治安は素晴らしい。外国人が一人で北部から南部まで自転車で旅したが、まったく問題はなかった。たまに麻薬を探しにラオスの山奥に入るよう外国人バックパッカーもいるが政府が徹底的に取り締まっている。外国人といえども容赦なく逮捕する。外国人に対する殺人事件も少ない。レイプ事件もほとんどない。

――観光業はラオスの大事な外貨獲得源だと思うが、GDPのどのくらいの割合を占めるのか…。

ソンポン どのくらいのパーセントになるか計算されていないが、観光業の昨年の収益は2億3300万米ドル。しかし、一番の外貨獲得源は鉱山の輸出で、観光業は2番目だ。鉱山の場合は利益の全てが国に入る訳でなく、外国企業の取り分もある。観光の場合は全て現地に還元される。恐らく、観光業はGDPの6%程度を占めているのだろう。まだまだ大きくない割合だが。

――日本人観光客を増やすにあたり、具体的な数値目標は…。

ソンポン 2年以内にラオスを訪れる日本人観光客を年間5万人以上にしたい。成田〜ビエンチャンを結ぶ直行便のチャーターフライト、観光プロモーション、ベトナム、タイ経由の乗り継ぎ便の待ち時間の短縮などが実現できれば、数年のうちに年間5万人以上の日本人観光客をラオスに誘致することも可能だ。あなた方、マスコミの報道ぶりにもかかっている。

【ラオス】
東南アジア、インドシナ半島の中心地に位置する内陸国。ベトナム、カンボジア、タイ、ミャンマー、中国と国境を接する。国土の面積は23万6800キロと本州とほぼ同面積。総人口は約560万人と北海道と同程度。約48の少数民族が暮らす。北部に1995年、街ごとユネスコの世界遺産に登録された旧王都ルアンパパーンが、南部に2001年に世界遺産に登録されたクメール文化の建造物、ワット・プー遺跡群がある。