大阪証券取引所 代表取締役社長 米田 道生 氏

大阪証券取引所 代表取締役社長 米田 道生 氏

統合新市場は『ジャスダック』


――ジャスダック(JQ)の新松本社長について…。

米田 筒井高志前社長の尽力でグループ化まで持っていっていただいた。しかし、今後は、新しい体制に変わることもあり、一つの節目でもあるので、松本学新社長に任せることになった。松本新社長には、経営体制をしっかり立て直してほしいと思っている。これから市場を統合し良い市場を作るために、両方の力を結集していかなくてはいけないと考えている。そのためには松本社長のような志の高いリーダーシップのある方の舵取りがふさわしいと判断した。また、JQとの統合で、3つの委員会を創設した。一つは、JQとヘラクレスの市場を一体にするための市場統合委員会。もう一つが、JQと大証との組織連携を考えていく経営組織委員会。そして、自主規制に関する委員会だ。今問題となっているのは新興市場の信頼性回復で、お互いにノウハウを交換しながら、松本新社長とともによりよい方向性を見出していきたいと思っている。

――市場の統合の道筋は…。

米田 第一段階は、今年の9月を目処にJQの取引を大証のコンピュータシステムで処理することだ。これまでJQはシステム費用として年間およそ40億円かけてきている。大証のシステムで処理すれば、その費用がほぼなくなる等大幅なコスト削減に繋がる。それと同時期にJQ株式の残り20数%の株を大証で買い取り、100%子会社とする。その後、出来るだけ早期に市場をヘラクレスと一緒にする。組織も出来れば子会社という形ではなく、一体化をしたいと思っている。その際には、持ち株会社という形にするか、完全に一体化するのがよいかは今後議論していく。JQとヘラクレスとの市場の統合は、上場基準も異なるので、難しい面もあるかも知れないが、効率的運営を行うためにも早期に達成したいと思う。「ジャスダック」という市場名称については、国内で広く知られているので、それをあえて変更する必要はないと思っている。また、統合後の市場運営も東京中心でいいと思っている。 ただ、市場統合に関することは外部の有識者の意見も伺いながら今後議論をすることになる。JQには歴史と伝統があるなど良い面もあるが、大証自身もそうだったように、組織運営にについて変えていかなくてはいけない面もたくさんあると思う。特に、上場会社の一員となることは、ガバナンスを一段と高めることが望まれる。大証は上場して約5年経過したが、常日頃からその点を強く意識している。上場会社の組織運営を自ら認識することは、市場を運営していく取引所としても重要なことだ。

――大証の今期の見通しは…。

米田 4−12月期は、大証単体では前年比増収増益となった。ただ、1−3月期は市場もかなり低迷してきているので、少し落ちてくると思う。08年度の通期では、最終利益60億円程度となるだろう。JQの営業利益は赤字だが、通期ベースではほとんど影響はない。また来期においては、現在のJQの一日の出来高が100億円に届かないなど、これだけ新興市場が落ち込んでいると、いくらシステム統合をしても、運営費用や人件費が大きな負担となってくる。人の整理は極力しないほうが良いと考えているが、役員が先頭に立ち節約するものは節約するという姿勢を見せることが必要だ。


――日経225ミニなどの先物が収益に貢献しているのか…。

米田 デリバティブについては、一昨年から16時30分から20時の間も取引を可能とした「イブニングセッション」を設けているが、日経225ミニを中心に、予想以上に出来高を伸ばしている。また、リーマン破綻以降、取引所を通さない証券会社同士の取引から、決済に安定性がある取引所を通した取引の方へシフトする動きがあり、このため日経225オプションの取引の増加がみられる。ETFの売買が活発になってきている。個人投資家からも、分かりやすい商品として評価されているようだ。大証に上場しているETF全銘柄の売買代金は、東証に上場しているETF全銘柄よりも大きい。東証より先行して日経225、金、中国株などETFの種類の多様化を図っていたことが要因だ。大証は、現物株式とデリバティブといった2つの柱のマーケットを持つことで経営が安定している。現在、FX(外国為替証拠金取引)市場を立ち上げるため準備をしている。また、海外の証券業者が日本国内に支店を置かず大証に直接注文を出せる「リモートメンバーシップ制度」も導入する予定だ。最近提携したばかりの米ナスダックは上場企業に対して様々なサービスを提供していて、手本にしたいところが多々ある。いい意味でのパートナーシップをとっていきたいと思っている。(了)