民主党 参議院議員 政策調査会長 直嶋 正行 氏

民主党 参議院議員 政策調査会長 直嶋 正行 氏

国の制度を改め、税金の無駄をカット



――税金の使い方がマニフェストの大きなポイントと見ているが…。

直嶋 民主党は子ども手当や農業の戸別所得補償のように、基本的にそれが必要な国民に、直接お金を給付する。一方、自民党は業界団体や天下り先である独立行政法人のような団体にお金を流している。この間接的なお金の使い方の裏側には、資金の効率が悪いことと、お金の使い方が不透明になるという2つの問題が潜んでいる。中間に団体が入り込むことで、そこは天下りの温床にもなる。我々民主党は、国民に直接お金が行き渡ると同時に不透明な使い方を改めて、国民から見て分かりやすい、透明で公平な政治を目指している。

――消費税については…。

直嶋 少子高齢化が進んでいる今、将来の福祉のことを考えた場合に今後の負担増が避けられないということは、国民の皆さんが感じていることだと思う。その点、消費税を上げるという意見もあるが、私はその負担を国民にお願いする場合には2つの条件が必要だと思っている。それは、負担が公平であることと、制度が透明であることだ。この2つがないと国民のご理解を得ることができず、負担を強いることは難しい。民主党が4年間消費税を上げないと言っているのは、その4年間で無駄遣いを極力改め、不透明な部分を取り除くとともに、社会保障の財源に一体どのくらいかかるのかをきちんと計算してメドをつけるためだ。その上で必要となる消費税も含めて決めて、4年後以降に改めて国民の方々にお願いする必要があれば、お願いしていくことになるだろう。

――無駄なお金をどのようにカットするか注目されている…。

直嶋 単なる節約ではなく、例えば国の権限を地方に渡すなど、国の制度や仕組みを変えながら税金の使い方を改めていくやり方だ。具体的には、公務員の早期退職勧奨を廃止し、天下りをなくす。また、現在国が行っている契約の約半分を占める随意契約を変えていく。随意契約は競争性のない契約で不透明だ。この点、民主党では契約の事後的検証と是正措置を担う「政府調達監視等委員会」も設置し、国が行う契約の適正化に取り組んでいく。その他、縦割り行政の中で各省庁が同じようなことをやっていたり、国と地方の関係における二重行政なども徹底的に見直し、排除していく。同時に地方への補助金の配り方も整理するなど、制度変更を含めて見直していけば、色々なところから資金は出てくる。

――そういった無駄を見直すために「行政刷新会議(仮称)」が新設される…。

直嶋 「行政刷新会議(仮称)」は国が行っている約3000の事業について、最終的に必要か不要か、或いは誰が行うべきかまで遡り、一つずつ見直しの作業を行う実行部隊だ。この組織には議員だけでなく民間有識者にも入っていただき、基本的には民間でこの問題を手がけているシンクタンクの力も借りたいと思っているが、具体的に何人くらいが携わるかなどは今のところまだ決まっていない。走りながら考えるという状況だ。1年目にどこまで稼動出来るのかまだわからないが、4年間というスパンでしっかり見て行きたいと思っている。

――主計局を内閣府に移すという案もある…。

直嶋 そういうアイデアはあるが、まだ実際に決まってはいない。予算編成については、骨格は政治家が決めて、各省庁がそれを肉付けし、主計局が束ねるような仕組みでいいのではないか。主計局の役割は、全体的な骨格を作るというよりも、むしろひとつひとつの予算について査定をきちんとやっていくことだ。省庁の予算はどうしても前年の実績がベースとなるが、本来ならば毎年の予算査定できちんとしていくべきだ。しかし、現在の主計官の人数は少なく作業も大変であるため、そこは専門的な目を持った方々の力をお借りしながらすすめていく必要もある。

――マニフェストには新政策にかかる16兆円強の内訳も細かく書かれているが、その中でも一番のポイントは…?

直嶋 財源については、国の一般会計と特別会計の無駄の削減、埋蔵金の活用、税制の組み換えという3本立てで16兆円強を確保する。その中でも一番大事なのは財政構造の変革だ。この成果は最初からフルに出てくるとは考えられないため、その間は埋蔵金から捻出しなくてはならない。政府の平成21年度補正予算でも、それはいわば来年、再来年まで使うお金を積み立てている基金も多く、その一方で、その資金調達として国債という借金を前倒しで発行している。余っているお金があるのならば、それを先に使えばいい。結局積み立てているお金は国債の購入に当て短期運用しており、それは非常にもったいない。

――「子ども手当て」では子ども1人に月2万6000円が支給される…。

直嶋 この月2万6000円という金額は、0歳から15歳までにかかる衣食住と基本的な教育費の平均値を根拠に算出したものだ。このように重要政策として選挙で公約に出したことは、政権をとったら最優先でやらなくてはならない。この点、今までの予算をそのままにして公約に掲げたことをやろうとしても財源はない。そのため、最優先課題となる新政策の実行と、今までの政策の見直しを平行して取り組んでいかなくてはならない。それでもどうしても足りない部分については埋蔵金を利用する。それでもタイムラグが出来て財源が足りなくなり、どうしても国債を発行しなくてはならない時が出てくるかもしれないが、基本的には、再び世界景気が底割れするなど、よほどのことがない限り、国債増発に手をつけるということはない。

――人口の減少を食い止めるにも子育て支援は必要だ。一方でシングルマザーへの対応や夫婦別姓については…。

直嶋 夫婦別姓については、政策集には入れているが、マニフェストに入れるところまで意見整理が出来ていない。シングルマザーの問題は非常にデリケートで難しい。フランスや北欧などで人口が増えているのは、シングルマザーでも子供が生み易い環境であることに加えて、アフリカなどから養子をもらっている人が多いことも理由としてあげられる。遠い将来には日本人も外国から養子縁組を行うようになるかもしれないが、現時点での日本には、なかなかそのような風土は広がっていない。

――各省庁に約100人の国会議員を送り込むという案もあるが、その一方で、献金などを目当てにしたり、役人に利便を図ってもらったりといった腐敗が拡大する懸念は…。

直嶋 そこは政治家の信頼の問題だ。そういう意味では、例えば公共事業のように一つ一つの意思決定に政治家が関わる必要はない。プランや全体計画を示すのが政治家であり、そこから先は行政、役人に任せるべきだ。その点、今の与党は陳情を約束しながらむしろ逆の立場になっている。

――政治家個人や党にもガバナンス制度を導入し、企業と同じように資金の透明性を図るべきだという考えもある…。

直嶋 確かにおっしゃるとおりだ。公的会計においても企業会計などを取り入れていくべきだろう。とはいえ、公的な会計法と企業の発生主義会計法を一緒にするには難しい部分もある。すでに公的会計を企業会計に近づける法案も提出してはいるが、まず、その前にやらなくてはならないことは、予算と決算のあり方を見直すことだ。予算項目と決算項目に整合性がない現状をなんとか正さなくてはならない。改善できるところは山ほどある。自民党がやらなかったことをひとつひとつ改め、大きく国を改革していきたい。(了)