民主党 衆議院議員 海江田 万里 氏

民主党 衆議院議員 海江田 万里 氏

官尊民卑では民主主義根付かず


聞き手 編集局長 島田一

――国会改革の法案作りをなさっているが、やはり今後は議員が国会を運営していくということか…。

海江田 政権交代によって政府は変わりつつあるが、立法府となる国会は未だ全然変わっていない。国会も変えるべく、今、国会の活性化法案を通常国会に出そうと準備しているところだ。具体的に肝となるのは、まず、官僚答弁をやめるということだ。わが国にはもともと各省庁の局長級以上で構成される政府委員制度があり、政府に対する質問にはその政府職員が答弁に当たっていた。それは2001年に廃止されたが、依然、政府職員が答弁する必要もあり、今度は政府参考人制度が設けられた。今回はその政府参考人もなくす方向だ。そうはいっても、やはりそれぞれの委員会の中で政府の職員に話しを聞き、アドバイスをもらわなくてはならない時もある。そういう時には各々の委員会の中で意見聴取会を開き、その場で意見を聞くようなシステムにする。メインはあくまでも政治家同士の議論だ。また、国会を活性化するためには副大臣・政務官の数がまだまだ少なく、この辺りの人員数を増やしていく必要がある。その他、内閣官房や戦略局も強化していく考えの下、合計88人の国会議員を政府に入れることを法案に盛り込んでいる。この点、マニフェストでは約100人の国会議員を政府に配置すると掲げていたため、「公約の100人に届かない」という声も聞かれるが、民主党の全議員数を考えれば、与党として国会を仕切っていくためには88人がギリギリのラインだ。

――副大臣や政務官の数が少ないと、官僚主導と言われてきた政治から抜け出すことはなかなか難しい…。

海江田 昨年の衆議院議員総選挙で民主党は308議席を獲得したが、参議院ではまだ半数に達していない。そういったことを勘案すると、100人の国会議員を政府に入れた場合に党としての仕事が上手く回らなくなる可能性が高い。一方で、今年7月には次期参議院選挙が行われる。今回新たに副大臣や政務官のポストが検討されている人たちの中で、参議院の改選議員にあたるような人の中には、内心、選挙運動に専念したいという思いもあるだろう。しかし今が踏ん張りどころという認識の下、そういった人たちに対して新たなポストを引き受けてくれるようお願いをしているところだ。

――予算委員会は予算を審議する場であるはずなのに、誰かの不祥事を取り上げたりすることも、国民にとっては理解できない…。

海江田 政治倫理審査会というものもあるが、予算はありとあらゆる問題に触れるもので、全大臣が予算委員会には出席するため、どうしてもその場で質問しなければならないということもある。それは我々が野党だった時代にも行っていたことだ。ただ、予算が関わる国会の場合、一日も早く予算を上げるということが国民に対する責務だとは思っている。本来であればそういったところも区分けをして、不祥事を取り扱う委員会なども作っていくべきだろう。私は予算委員会の理事も担当しているため、本当に厳しさを目の当たりにしているところだ。

――その他に、今、取り組んでいることは…。

海江田 国会の議論から役人の答弁を除くということを最初の一歩とし、次に私たちが考えているのは、国会の会期の問題だ。今回の国会は1月18日にスタートし、150日間の期間を経て、会期末は6月18日になる。会期末が決められていると、必ず会期をめぐっての闘争が繰り広げられる。というのも、一つの国会で退けられた法案は、その後臨時会などでは議論できない「一事不再議」の原則があるため、野党は会期末を抵抗材料に使う。この点、例えば、選挙から次の選挙までの議員任期期間を一つの会期にしたり、通年国会のように一年間を会期にするなど、海外の制度も参考にしながら、これから我々が議論していかなくてはならない問題だと考えている。その他、選挙活動において、インターネットでの選挙運動を解禁する動きにも取り組んでいる。現在の公職選挙法では戸別訪問が禁止されている上に、選挙が始まると候補者はインターネットによる選挙運動も出来なくなり、自身のホームページを更新することさえ禁止されている。戸別訪問の解禁には時間がかかるかもしれないが、インターネットでの選挙運動の解禁については早く実現していきたいと考えている。

――法案の成立の見通しは…。

海江田 与党の議員数が多いため、成立する見通しではあるが、国会改革については出来るだけ多くの政党からの賛成をもらって成立させたいという考えがベースにあるため、なるべく丁寧に進めていくつもりだ。数を頼りに伝家の宝刀を抜くようなことは出来ればしたくない。

――法案が成立したら、議員の先生方も役人以上に知識を入れるために勉強が必要だ…。

海江田 それは当然のこととして考えなくてはならない。これからは、議会の答弁に耐えられない人は大臣にはなれず、なったとしてもすぐに首を切られてしまうということだ。それはそれで良いのではないか。議員の側でも、まだまだ政治家の答弁よりも役人の答弁の方が当てになるという風潮があるため、その辺りは頭を切り替えてもらいたい。日本の国民の中にも、依然として「官尊民卑」という意識が強い。官尊民卑の意識が強ければ強いほど、政治主導にはならず民主主義は根付いていかない。そのような意識を早く脱して、国民から選ばれた政治家の発言というものは、もっと重みのあるものだと感じてもらいたいと思う。そう思ってもらうためのはじめの一歩を、今、踏み出している。(了)