内閣府特命担当大臣 経済財政政策、科学技術政策 海江田 万里 氏

内閣府特命担当大臣 経済財政政策、科学技術政策 海江田 万里 氏

民主党のマクロ経済政策を構築



聞き手 編集局長 島田一

――新内閣の経済財政政策特命担当大臣として、先ず、取り組むべきことは…。

海江田 先ずは補正予算にとりかからなくてはならない。臨時国会は10月1日に召集されるが、その臨時国会の中で補正予算を成立させる必要がある。その規模についてはまだ話せる段階ではないが、従来どおり与野党で話し合いをしながら進めていくことになる。ただ、ねじれ状態ということも勘案して、野党側との話し合いは従来よりも早い段階から行っている。臨時国会で補正予算を決定させることはすでに決まっており、先日も自民党のネクストキャビネット経済財政政策担当の竹本直一氏や、みんなの党政策調査会長の浅尾慶一郎氏と意見交換を行なうなど、色々なところで話し合いを重ねているところだ。野党の方々とも事前に意見交換しながら、まとめるものはまとめて、タイミングを失することなく補正予算を実現させていくこと。それが、私が最初に取り組むべき大きな事案だ。

――補正予算の目玉は…。

海江田 先日の緊急経済対策では9200億円を打ち出し、既卒者の就職支援や家電エコポイント制度の延長などに充てたが、やはり、経済対策としての一番の目玉は住宅関連だろう。住宅版エコポイント制度や住宅ローンの金利優遇策の期限を延ばすなどして、内需を如何に拡大させるかが、今後の景気動向の鍵になると考えている。一方で補正予算の詳しい中身はこれから精査して行くことになるが、その柱となるのは、雇用と成長戦略だと考えている。

――雇用を確保するための具体的な案は…。

海江田 まずは新卒者を救う必要がある。この点、過去3年遡って、とりあえず学校は出たけれども就職口がなかったというような人たちを受け入れてくれた企業に対しては、一人当たり年間100万円の補助金を支給する制度の創設を考えている。それは次の国会で成立させる予定だ。同時に、中小企業の金融支援については、金融担当大臣が率先して、モラトリアム法案の期限切れのことも勘案しながら進めていくことになるだろう。それとは別に、円高による被害分も加味して、中小企業に対する金融支援なども盛り込む必要があると考えている。

――概算要求では全省庁で一律10%がカットされるが…。

海江田 本予算では、概算要求の段階で一律10%カットとなるが、ここでの大きなポイントは、カットした中でも本当に一生懸命やってくれたところに関しては、削減した額の3倍を上乗せして予算要求が可能になることだ。今後、伸びていくと思われる産業をどのように選択し、そこに上乗せしていくかという作業が年末にかけて始まっていくことになる。

――国債残高の増大に関しては…。

海江田 私は、国債規律を守らなければいけないからこそ、例えば遊休資産の証券化など、色々な形で如何にお金を捻出していくかを考えるべきだと思っている。当然のことながら、国債規律を全く無視して良いとは思わない。ただ、出血している時に輸血をためらっていたら、これは、どうしようもない。同じような話で、景気が良い時は真水が経済資金の呼び水となり、民間の資金が動きだし、経済が回復するという流れになっていた。それが、今では民間の資金があまりついてこない。企業の投資マインドが冷え込んでいる現在では、その真水の部分も増やさなくてはならないのかもしれない。

――この約20年間のデフレで、国債残高は実際より2割程度増えているとの見方もある。そんな中で、日銀が国債買い切りを行うべきだという声も増えているが…。

海江田 それは今の内閣ではまだ議論していないが、少なくとも今の国債の購入ルールでは、購入は日銀券の発行の枠内にとどめるという決まりがある。それには実際にまだ余裕があるため、今すぐに国債の購入枠を引き上げなくてはならないという状況でもない。とはいえ、そういったルールについては、そろそろ議論する必要もあると考えている。

――日銀法改正についてのお考えは…。

海江田 これは特に野党側からの意見ではあるが、法改正の必要があるのか、それとも法改正をせずに対応が可能なのか、まだ最終的な判断は出来ていない。日銀はインフレ対策には熱心だがデフレ対策にはあまり熱心ではないというような見方もあるが、最近は随分政府と同じ方向を向いているように見受けられ、少なくともそっぽを向いているようには感じられない。あとは、本当に法改正が必要なのかどうかを、しっかりと議論していく必要がある。

――従来延長の政策ではなく、例えば海外の安い労働者を雇用したり、雇用する側が合わないと判断した人間に関しては解雇したりして、企業を合理化させた方が良いというような意見もある。企業を補助金付けにするよりも、そういった抜本的な経済政策もそろそろ必要なのではないか…?

海江田 円高対策の一番の対応は、まさに抜本的な改革を行うというものだ。そういったことも当然頭の中に入れておく必要がある。ただ、それはまだ先の段階の話になると思っている。例えば法人税の引き下げについても、実際に法人税の引き下げを行なってどうするのかというような話しにもなってくる。そのため、それは現在民主党がまとめている政策実現スケジュールの中の第3段階の中で考えていくことになるだろう。

――そういった政策実現スケジュールも、国家戦略局と連携をとって進めていく…。

海江田 もちろんだ。マスコミでは司令塔がどっちだとか言われているようだが、そういった縄張り争いなど全く無く、お互いに協力し合いながら良い案を出して、良い方向に進んでいかなくてはならないと考えている。これまで民主党は、マクロの経済政策がないといわれてきたが、私がそのマクロ経済政策を立てることが使命だという意識のもと、これから新たなグランドデザインを構築していきたいと考えている。(了)