中央土地 代表取締役社長 東京都不動産のれん会 代表 勝田 忠緒 氏

中央土地 代表取締役社長 東京都不動産のれん会 代表 勝田 忠緒 氏

建築基準法改正で社会の閉塞感打破



聞き手 編集局長 島田一

――この度、東京都不動産のれん会の代表になられた…。

勝田 この会が任意団体として発足してから51年目になる。地元との密着性が薄れつつある現在の世の中で、大手の不動産会社とは違った、消費者の手に届くようなサービスを心がけ、信頼される確実な情報を流していくために設立した不動産業者の協業集団だ。これまでは活動のPRなどにあまり力を入れてこなかったが、新代表として、今後は地方ののれん会とも連携して情報交換を図り、もっとこの輪を広げていきたいと思っている。

――加盟不動産業者52社が集まって行う具体的な活動は…。

勝田 会員は仲介関係が主だが、その他にも、貸ビル専門会社や不動産鑑定会社など幅広い知識を持った人たちが集まっている。月に一度行う例会では、各分野の著名な方を招いて講演なども行っている。また、消費者に不動産の正しい知識を普及するための小冊子を作ったり、会員間で新しい情報を交換するための物件交換会なども行っている。会員は首都圏一円の地域を代表する信頼と実績のある業者で、社会の信頼に応えるために正しい営業活動を進めている。

――不動産取引の活性化のために必要なことは…。

勝田 用途地域や建築一般の法律は、約100年前に作られて以降、ほとんど改正されていない。しかし、社会が変化するに伴い住環境も変化してきて、例えば日照権なども昔ほど騒がれなくなってきた。建築技術が急速に進歩していることもあり、狭い日本の中で住居として使えるようなところをもっと増やしていくためには、建築基準法などを改正する必要があるのではないか。そうすることで、もっと安い地価で提供することも可能になる。

――建築基準法の改正で、土地活用の幅が広がり、結果として土地の値段が下がると…。

勝田 簡単なことではないかもしれないが、何でも取り掛からなければ始まらない。日本経済全体のことを考えて、政治家や官僚などにもこういった意識を持ってもらいたい。そうすれば、日本も、不動産事情も変わってくるのではないか。社会全体が閉塞感に包まれている現状にあって、きちんとリーダーシップを持って、引っ張って行ってくれる人の顔が浮かんでこないのは寂しいことだ。

――低層ビルを集約して、もっと大きくて高いビルを作るといった都市計画も必要なのではないか…。

勝田 最近では東京駅周辺なども様変わりし、ようやく都市らしい景観になってきたと思うが、未だに再開発法などで認められた規模の大きい建築物以外は、建物の高度が52mまでと制限されている。こういった制限を取り払い、もっと、土地を有効活用出来る工夫をしていくべきだろう。

――バブル崩壊によって不動産価格の評価基準が変わってきた…。

勝田 日本で不動産の価格を算出するために使われる手法は3つある。それは、原価法と取引事例比較法と収益還元法だ。原価法は土地だけに関するもので、取引事例法は同じような条件下にあるものがいくらで売買されているかを判断するもの。そして、収益還元法は不動産の価格を収益面から考える方法だ。昔、狭い日本で土地の値段が上がるのは当たり前と考えられていた時代は取引事例比較法がスタンダードだったが、もはやそういう時代ではない。「不動産から流動資産へ」という流れとなった今では、上物によって収益がどれくらい上がるのかを判断する収益還元法が重要視される。

――御社(中央土地)は昔から収益還元法を重視してきた…。

勝田 バブル当時は、土地やマンションを分譲して売れば稼ぐことが出来た。ただ、売って得た資金は、また次の土地を買うために使う。そのうち、段々と建築事情がタイトになり、税法が変わり、いつの間にか中身が何もないといった状況におかれるようになってきた。しかし、不動産でも賃貸業でテナントを貸してさえいれば、自社の業績が悪くても賃貸料が入ってきて、従業員や家族を養っていける。つまり収益還元法による不動産経営だ。当社の先代の社長はよく「賃貸は不動産業の王道だよ」と言っていたものだ。

――不動産業界の今後の見通しは…。

勝田 バブル期のような乱高下した土地相場が再度起こることはないだろう。収益還元法という考え方が主流になり、そうでなければ今後はやっていけない。狭い国土に住居やビルが立ち並ぶ日本で、その希少価値が変わることはないと思うが、それを持っているだけでなく、もっと活用していくことが大事なポイントとなってくる。

――インターネットの普及で不動産業のあり方もずいぶんと変化しているが…。

勝田 現在の情報化社会において、大手の不動産会社の中には、不動産をインターネットで検索して、そのまま売買するというような流れに対応しているところもある。しかし、私個人の考えとしては、一生に数える程の貴重な買い物となるであろう不動産を、実際に見ることもなく売買するようなことはトラブルの元になる。自分の目で確かめて、地元で信頼できる業者に相談するようなことが大切だと思っている。

――不動産を安心・確実に取引するためには、地元に密着している不動産のれん会だと…。

勝田 社会全体が不透明感に包まれ、不動産業界も例外ではないこのような状況下にあって、例会では意外と皆さん明るい。そういった会員の皆さんの顔を見ていると、私も代表として、皆と力を合わせてまた何かやっていけるのではないかという気持ちになる。来年は、会員数を55〜60社まで増やし、かつ地方の業界団体とも連絡を取り合うことで、更にパワフルな活動を行いたいと考えている。(了)