緊急記者座談会

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内閣改造の行く末は





――内閣改造が行われたが…。

 あまり新鮮味がないな。引き続き経済を知らない人ばかりが大臣に就任しているという印象だ。唯一、経済通として評されている海江田経産大臣あたりが面白いかな。
 与謝野経財担当大臣はいただけないという評価が市場では目立つ。日銀の消極的なデフレ対策の良き理解者だし、消費税導入推進論者だ。まあ、この与謝野人事で菅政権の経済政策が透けて見えたといっていいのではないか。消費税導入議論の推進は、財務省は喜ぶが、多くの国民は納得しないだろう。民主党は、消費税は当面引き上げず、16兆円超の財政コスト削減を目玉に09年の衆議院選挙で大勝した経緯がある。このため、この4月の統一地方選挙で大敗を喫して、党首交代といった事態も想定される。
 それより前に、来年度予算をどうするかという問題がある。来年度予算は今年度と同様に、90兆円台に膨らみ、一度増やしたら減額できないという日本の国家予算の放漫ぶりを改めて印象付ける形となった。このため、国民のかなりの人たちは、来年度予算の成立は望んでいないのではないか。それよりも、国会を解散して、菅首相の消費税増税案について国民の総意を問うべきだろう。
 来年度予算をまた組み直すのは大変な作業だが、幕末・維新の精神を持ってすれば、むしろ当然のことだろう。小泉郵政改革の時の総選挙のように、消費税を前面に打ち出して電撃解散をすればいい。そして選挙に勝って堂々と消費税を増税すべきだ。消費税を上げずにコストを削減するといって国民から議席を得たのだから、総選挙をせずにマニフェストだけを替えるのは真に詐欺だろう。
 消費税増税のために総選挙で民意を問うことは大賛成だが、結果は負けることが目に見えている(笑)。だから解散総選挙はしないし、できない。となると、消費税引き上げ反対の国民の期待は小沢氏の動向に集まってくるだろう。もちろん、国民の多くは小沢氏の政治とカネをめぐる問題については、やはり何らかの問題があると思っているが、同時に検察のねつ造問題も表面化してしまっただけに、本当に問題があるのかよく解らないというのがかなりの国民の見方ではないか。それよりも、小沢氏の豪腕や選挙民の声をきちんと聞くという政治家としての姿勢への期待が再び強まりつつあるのではないか。

 脱小沢氏を主張する人は、田中角栄元首相に象徴される金権政治といった古い政治から脱却すべきだという意見だ。それはそれで正しいと思うが、問題は反小沢の政治家が国民の声をきちんと聞く耳を持っているのかどうか、つまり、経済実体を良く理解し、霞ヶ関をコントロールできるかということだ。92兆円の来年度予算や消費税増税路線を見る限り逆で、霞ヶ関にコントロールされているといって良いのではないか(笑)。
 まあ、それは初めから菅さんでは無理だ。全くといって良いほど経済を知らないから、霞ヶ関からレクチャーを受ければ、それに乗らざるを得ないだろう。仙谷さんや野田財務大臣も同じで、経済音痴という評価が市場では多い。そして霞ヶ関に経済政策を委ねれば、財政コスト削減という言葉は決して出てこない。結果としては増税路線だ。会社でも国でも同じだが、コストを下げたり給与を下げるというのは難しい。しかし、会社はそうしなければ倒産してしまうというリスクがあるからコスト削減に迫られるわけだが、国が倒産するリスクは極めて小さいため、霞ヶ関にコスト削減という意識は皆無だ。
 だから政治家がコスト削減をしなければできないのだが、日本にはサッチャーやレーガンのような人物はまだ出てきていない。多くの国民はそれを望み、自民党から民主党に替えたのだが、その民意に応えられていない。コストが削減できないばかりか、利益を生まないパブリックセクターを肥大化させ、利益を生む企業を海外に脱出させている。これでは、税収が足りなくなるばかりだ。今、真に行うべき経済対策は、パブリックセクターを縮小し、それで企業減税を行い、これ以上企業を海外に脱出させないことだ。同時に、徹底的な金融緩和を行い円安にして外需をGDPの30%ぐらいに引き上げることで、雇用を確保することが大切だ。
 その意味では、日本も中国に倣って為替を管理相場にすることも考えるべきではないか。例えば、今だったら95円を中心に上下10円を容認するといったことを財務大臣が口にすれば良い。口先介入だ。今の外為相場は、経済音痴の仙谷前官房長官が口にした82円が支持線になっている。介入は効かないという人がいるが、それは間違いだ。現にポンドは英連邦各国に頼んでひそかに介入をしている。米国はFRBがドルをばらまくことでドル安にしている。何もやらないのは日本だけだ。
 円高にしても何か策があるのなら大いに結構だが、何の策もなければ、企業が海外に逃げて行くだけだ。円高の最大の問題は、労働コストの上昇だ。労働コストを除けば、円高は輸入原材料が安くなる分、輸出価格の上昇には跳ね返り難いが、労働コストはそうはいかない。ましてや日本は島国だから、陸続きの国と違って不法移民が労働コストを引き下げるということもできない。
 だから、円高を放置するということは、国民の給与を引き下げないしは職を奪うと同じことだということを政治家も霞ヶ関も強く意識する必要があるのに、それが分かっていない。まぁ、失業の心配のない霞ヶ関が意識していないことは理解できるが、政治家の経済音痴には困ったものだ。しかも、菅首相にしても仙谷前官房長官にしても、いわゆる社会派といわれ、国民の不条理をなくしていこうという人たちが、国民を困らせるという図式になっている。

――まぁ、何にしても無知は困る。

 それと、相変わらず日銀も困ったもんだ。極めてマーケットの小さいREIT市場に介入して、価格形成をゆがめている。思い切った金融緩和をしているということをアピールしたいのだろうが、そうすることでデフレを克服できるのかというと、市場では多くの人が疑問視している。米国のように大量にお金をばらまくことで貨幣価値を下げ、円高を阻止し、インフレにつなげていくということをなぜしないのか。大きな謎だ。日銀総裁の頭の中に古びた経済理論だけが入っているのか、あるいは分かっていても何もしない方が批判されなくて良いと思っているのか。いずれにせよ、日銀を批判できる政治家やマスメディアが極めて少ないことが原因のひとつだろう。

――どうなるのかな日本は……。