緊急記者座談会

緊急記者座談会

危機バネ活かせるか日本経済




――今回の大地震と原発事故についての記者座談会を行うにあたって、亡くなった方々に対し、先ず黙祷。

A、B、C、D 黙祷。

――今回は、大津波と原発事故が加わって未曾有の大災害となった…。

 数万人の方が亡くなり、数十万人が未だに避難生活を送っている。大地震と大津波だけでも未曾有なのに、原発事故というこれも世界で過去に2度しかない大事故が発生している。いずれも天災だから起こってしまったことは受け入れるしかないが、問題はそれへの対応だ。相変わらず政府のやっていることは後手後手で、官僚的で国民を守っていこうという姿勢に欠けるという印象が強い。
 起こってしまったことは仕方ないというが、原発事故についてはそれは許されない。原発は何があっても安全でなければいけないという考えに基づいているはずであり、故に今回の事故は東電やこれを監督する経産省や原子力保安院による人災だ。これら関係者に慢心や癒着があったのではないか。放射能汚染がこれだけ深刻な問題になり、国民の生命や生活を脅かすだけでなく、日本の輸出品に対する国際的な信頼も大きく揺るがしている。東電および経産省や原子力保安院に対しても刑事罰を視野に、原発事故の解決後に厳しい調査を行うべきだ。
 それが国民感情だろう。また、事故原因の解明とその責任の所在を明確にしなければ、世界の信用を取り戻せない。今でさえ日本は世界の投資家から相手にされていない、いわゆる日本パッシング(PASSING)の状態だから、これが加速する。日本国内で、政治家と官僚と大企業が仲間内で傷を舐め合って済む問題とわけが違う。しかし、それを警鐘乱打する役割のマスメディアが政府の飼い犬状態だから、原発事故の責任は更なる大災害のせいと済まされる危険性は十二分にある。飼い犬状態を印象付けているのが枝野官房長官の記者会見だ。
 確かにあの記者会見はひどい。枝野長官は肝心な事は言わないで、必要のない経過説明ばかりしている。国民は放射能の放出状況や危険性を知りたいのに、記者がこれを質問すると、「いま調査中」とか「正確な情報でないと混乱するから言えない」といった印象ばかりが目立つ会見だ。また、記者も記者で、「国民の一番知りたいことは放射能の情報で、それを迅速に調べ報告するのが政治家の仕事だろう」と何故、会見の席で怒鳴らないんだ。会見する側もされる側も、全く国民の感情を理解していない。いわば馴れ合いだ。
 それもそうだが、国民を守る姿勢に乏しいと感じたのは、5kmから10km、20km、そして30kmへと徐々に拡大した避難地域だ。これに対し米国はかなり早い段階から80km以内は危険とし、日本政府との違いを鮮明にした。また、放射性ヨウ素についても、一部の学者が早い段階から原子炉の損傷を指摘していたのに対し、原子力保安院がそれを認めたのは津波からなんと2週間後だ。つまり、政府は国民を守るというより、相変わらず政府にとって都合の悪いことは発表しないし、マスメディアもこれを報道できないという構図が改めて浮き彫りにされた。
 それが原因で転覆した国家がソビエト連邦だ。つまり、今のロシア。チェルノブイリ原発の事故できちんとした情報を出さず、多くの国民が被ばくした。今回も福島原発から40kmの地点で高濃度の放射能が既に検出されている。避難地域をのんびりと2週間後に30km以上に拡大したツケが回ってこないければ良いが。それと、放射能の本当の怖さは、飛来する速度にあるということだ。原発からおよそ230km圏にある東京でも5〜10時間以内に放射能が飛んでくる。今後、原発の状態が再び悪化し、それが夜ならば寝ている間に、昼間ならば逃げる人で大渋滞になり、結局は多くの人が逃げられないで被ばくするという悲劇も十分に考えられる。
 それだからかな、大臣クラスが被災地を訪問したという話が一向に聞かれない。菅総理が大地震の直後にヘリコプターで視察したのは大変良かったが、その後はどうなっているんだ。辻元ボランティア担当相をはじめ大畠国土交通相、松本防災担当相あたりが真っ先に行くべきなのに、米国のルース駐日大使の方が先に被災地を訪問してしまった。やはり、日本は米国政府の統括下の方が安心かな(笑)。もっとも、米、中、ロともに核の情報は極秘事項だ。日本政府の今回の対応の方が下手だがかなりオープンと言えるだろう。
 まあ、何でも秘密にする中国政府の統治下になるよりは数段良いだろう(笑)。

――ところで、今後の展望はどうかな。日本政府は未曾有の危機を、「ピンチはチャンス」として活かせるのか。

 枝野長官の記者会見の話に戻して申し訳ないが、役人の作った文章を読んでいるような今の政府の姿勢では、それは無理だろう。危機バネを上手に使えば日本は大きく立ち直り、再び世界一の経済強国になれると思うが、霞が関も政治家もまだ危機感が足りない。やはり、民間と違い給料が大幅にダウンしておらず、未だにまずまず豊かな生活をしていられることが危機感が薄い根本的な背景と思う。
 だからこそ今は、財政コスト削減の絶好のチャンスだ。国民一人一人が被災者の人たちを助けるために痛みを分かち合うことが出来る時だ。つまり、国民のコンセンサスである議員報酬の大幅カットや国家公務員の給料の2割カットを始め、それと一緒に老人に対する診療報酬の3割カット、年金のデフレスライドなどを行うことで、すぐに年間10兆円近くは捻出できる。それに、やはり自衛隊の予算の多くは無駄だ。今回の大震災で良く分かった。

――自衛隊は10万人以上動員して活躍しているんじゃないのか。

 確かに災害援助という役割はこなしている。しかし、今回の原発の事故により日本に17か所ある原発に敵国のミサイルが打ち込まれたら、それでおしまいということだ。日本には原発を目指すミサイルを撃ち落とす能力はないし、長距離ミサイルを含め報復手段を一切持ち合わせていない。つまり、自衛隊はあっても初めから戦争が出来ない国であるということが改めて今回の原発事故で分かったということだ。
 確かに自衛隊予算5兆円を大幅にカットし、国防の在り方をゼロベースで見直す必要がある。とりわけ、陸上自衛隊15万人は大幅に削減し、消防庁と合わせた災害救助隊に縮小するべきだ。その方が給与も安く済む。そしてその分、ミサイル防衛や海上防衛にコストを分けるべきだろう。
 それに、原発が攻撃され放射能汚染が広がった場合は米軍も助けてくれないことがよく分かった。その辺も考えて、例えば核兵器を持つとか、永世中立国になるとかを含め、ガラガラポンで防衛と外交の在り方を見直す絶好のチャンスだ。

――金融について意見は…。

 東北地方では人口の急減や多くの中小企業が津波で無くなったことから、金融機関の再編は避けられないし、再編して効率化すべきだろう。同様に、危機意識の低いみずほ銀は解体的な出直しをして合理化をしなければ金融界全体のお荷物だ。東電しかりJALしかりで、「親方日の丸」の体質を持つ企業が軒並み破たんしている。やや飛躍しすぎるが、役人以上の役人といわれる東証が大証に買収される可能性もあるのではないか(笑)。

――それやこれや、これまで変えられなかった旧弊を大きく変えていく今回は絶好のチャンスだし、またそうしなければ大きな犠牲に報いられない。がんばれ東北、がんばれ日本。(了)