観光を通じ日印の関係強化を

観光を通じ日印の関係強化を

インド観光大臣
スボド・カント・サハイ 氏



聞き手 編集局長 島田一

――この度の訪日の主な目的は…。

サハイ大臣 北海道を訪れた。実は今年の「第63回さっぽろ雪祭り」では、インドをテーマに取り上げていただいたコーナーがあり、大雪像の中にタージマハル廟をつくっていただいたので、それを見に行ってきた。それはとても素晴らしかった。その後、日本の観光庁の担当大臣である前田武志国交大臣や、ホテル業・旅行業関係者の方々とメディアを交えてお話をさせていただき、大変有意義な時間を過ごした。

――議論の内容は…。

サハイ大臣 インドをさらに発展させていくためには何が必要なのか、日本とインドの良好な関係を活用してどのような支援が可能なのか、そういった政策作りのために意見をうかがった。私はもっとインドの旅行業を発展させたいと考えている。そのため、日本とインド間におけるインバウンド(訪印外国人旅行者)とアウトバウンド(海外旅行者)の双方を、どういった形で進めていくのがベストなのかという議論を行った。

――今年は日印国交樹立60周年…。

サハイ大臣 日本とインドには歴史上の長い付き合いがあり、関係も非常に良好だが、日本とインドを行き来している旅行者はまだ10万人足らずだ。この数字は双方の人口の多さを考えると非常に少なく、本来ならばもっと多くて当然だと思っている。今回の訪日で日本の旅行業関係の方々からうかがった率直な意見にきちんと対応していくことで、インドでの観光ビジネスを少なくともこれまでの2倍にしていきたいと考えている。

――観光ビジネスでインドが抱える問題点とは…。

サハイ大臣 例えば、ビザの問題だ。日本人がインドに入国する際にはビザを取得する必要があるのだが、事前に日本でビザの取得申請をする方法の他に、インドの空港でビザを発行する「空港到着査証」というシステムも導入している。しかし、その際の作業が非常に遅かったり、面倒だったりということで、なかなか浸透していないのが現実だ。また、観光シングルビザの有効期間は30日となっているため、例えば、一度訪印してその二ヶ月後に再びインドを訪れようと思ったら、再度ビザを取得しなくてはならない。こういったところに対して不便だと感じている日本人の方々は多いため、改善していく必要があると感じている。

――インド観光の最大の魅力は…。

サハイ大臣 インドは7000年の歴史をもつ国だ。旅行者の中には、精神的啓蒙を得るために仏教聖地を訪れる人も多い。また、アーユルヴェーダやヨガなど、伝統的医療を目的としたウェルネスツアーもあり、精神的な何かを求めたい人にとってインドは大変魅力的な国だろう。一方で、高度な近代医療技術を欧米の10分の1の安い価格で受けられるとして、最近では「メディカルツーリズム」も大変な人気を博している。その他、海、山、砂漠など、インドには何でもある。そして、心も体も元気にしてくれる。このようなインドの魅力をより多くの日本の方々に知ってもらうために、我々は、もっとメディアキャンペーンを行う必要性があると感じている。また、日印ツアー開発フォーラムをインド大使館の中に設けて、日本とインドの旅行関係者を集めて旅行業制度に関する問題点を議論する場を作るなど、日本とインド双方の観光関連機関が協力しながら、観光に関するPRを着実に進めていきたい。

――インド経済の現状について…。

サハイ大臣 インドの経済状況は非常に良い。日本人による対インド投資も多いが、反対にインド人がIT分野や医療分野で日本に進出してきている例も拡大してきている。そういったことも踏まえて、私は今後、インドが観光分野に力を入れていくことが必要だと考えている。日印があらゆる面で良好な関係を築いていくことが、両国にとってのプラスになっていくだろう。日本は戦後の焼け野原から現在に至るまで見事に成長し、さらには昨年の未曾有の大震災を経験しながらも、しっかりと復活を遂げている。それは、どのように生存していくかがきちんと分かっているからであり、そうでなければ、現在のように世界のリーダーにはなり得なかったはずだ。そして、現在10億人以上の人口を抱えるインドは、日本にとって良い市場になるだろう。近年ではインドの国民一人当たりの所得も飛躍的に伸びており、年率7〜8%の経済成長を遂げている。金融面での開拓も期待されていると思う。

――欧州危機がインドに与える影響は…。

サハイ大臣 欧州危機の影響は世界中に及んでおり、インドも例外ではない。ただ、インドには欧州よりも大きな国内市場がある。こういった危機の状況にあっても需要が不足することは無く、今後も7〜8%の成長は維持していくことができるだろう。一つの良いニュースとしては、確かに欧州の現在の経済状況はあまり良くないが、欧州の中にはすばらしい観光資源があるということだ。それが欧州にとっての救いになるのではないか。

――景気低迷によって欧米の投資銀行が各国から撤退していく中で、インド側が日本に対して期待することは…。

サハイ大臣 実際には、欧米の投資銀行がインドから撤退しているようなことはあまりないと認識している。インドは現在大きく成長しているため、日本も成長したい会社があればどんどんインドに来るべきだ。すでに飽和状態にある他の国と違ってインドはスタートが遅かったため、まだまだ余地もチャンスもある。私は、あらゆる会社がインドにおける投資計画を持っておいて損はないと思う。

――最後に…。

サハイ大臣 私は、すべてのインド人に日本を見てほしい。そして、特に日本の規律正しさを学んで欲しいと思っている。そのためにも、今後、日本とインドを結ぶ様々な旅行業をますます成長させていきたい。(了)