新党は次のステップへの『つなぎ』

新党は次のステップへの『つなぎ』

衆議院議員 新党きづな
国会対策委員長 幹事長代理
豊田 潤多郎 氏



聞き手 編集局長 島田一

――「新党きづな」を立ち上げた経緯は…。

豊田 私は、政権交代後の民主党が、国民の皆様に約束したことを実行しようとせず、逆に約束していないことを強行しようとしていることに、かねがね疑問を持っていたが、最終的に離党を決意させたのは、昨年12月の3つのステップだ。最初のステップは昨年12月9日。国会の延長をせずに、国家公務員給与削減の法案審議に入らなかった。一川防衛相と山岡消費者行政担当相の問責を恐れて延長しなかったのだが、それはおかしい。次のステップは予算の政府原案が閣議決定された12月24日。この日、八ツ場ダムの建設再開が決定した。前原政調会長はその2日前に八ツ場ダムを予算案に計上すれば国土交通省の予算自体を認めないとまで言い切っていたのに、もはや民主党には統治能力が無くなっている。そして、最後のステップは年末の消費税増税の素案を強行したことだ。この3ステップで離党を決意した。私は2年半前に国民の皆様が期待したマニフェストを実現させることが一番大事だと思っている。しかし、それはもはや民主党では無理だ。当初、私が支えた野田総理は昨年9月以降、消費増税ばかりを唱え、それが私には耐え難かった。それとほぼ同じ思いを持つ9名が一緒に離党し、「新党きづな」を立ち上げるに至った訳だ。

――消費税を上げる前にやるべきことがある…。

豊田 民主党は現在の社会保障水準を維持するには消費税増税の他に選択肢はないとしているが、そんなことはない。やるべきことは「社会保障と税の一体改革」ではなく「歳出と歳入の一体改革」だ。まずは無駄な歳出の削減を行い、次に歳入予算の中で税外収入を増やす。JTや郵政などの国が持っている株を売るのも一つの方法だろう。その上で借金がどうしても減らせないのであれば増税という議論になるが、税の中にも消費税だけでなく、所得税や法人税もあり、資産税やその他多くの税とのバランスも考慮したうえで、最終的に消費税を上げるという議論になるべきだ。私は所得税や法人税に比べて不正の起こりにくい消費税で広く浅く徴収していくことは、将来的には必要だと思っている。年金の問題を考えれば20%程度もやむをえないかもしれない。しかし、その前にやることは無駄な経費の削減だ。税を上げるのであれば、先ず無駄な歳出を徹底的に削減し、国民の皆さんに納得して貰うことが必要だ。

――具体的なコスト削減策は…。

豊田 例えば、地方への補助金について、地方自治体のアンケートによると、自由に使えるお金として今のひも付き補助金の7割をもらえれば、現状と同じ行政サービスが出来るということだった。ひも付き補助金をなくして一括交付金にし、出来れば税源まですべて地方に渡せばよい。さらに公務員総人件費の2割カット、さらに特別会計の仕組みを変えたり、天下り先となる独立行政法人や特殊法人を全廃して必要なものは民間にやらせる。官僚の反対や利害関係団体の抵抗があっても、それは政治主導で押し切るしかない。民主党は、しがらみの多い自民党と違って、若い議員が多いことから、純粋にやろうと思えば出来るはずだ。やろうと思えばやれることを、やるかやらないかというだけだ。

――国には800兆円もの借金をため込んでしまった…。

豊田 私は旧大蔵省に昭和47年4月に入省し、主計局総務課に配属されたが、当時、国の借金はゼロだった。その10年後に主計局総務課の課長補佐として再び国の予算を見た時には数兆円の国債残高があり、それが今では800兆円近くに膨れ上がっている。40年かけて悪くなったことを元に戻すには、倍の80年はかかる。まさに国家100年の大計をつくらなくてはならない。そのためには財務省主計局をもっと活用すべきだ。

――歳出削減のために必要なことは…。

豊田 効率化と優先順位だ。特に、優先順位をつけるには強力なリーダーシップが必要となる。政治家がしっかりと政策の優先順位をつけて、財務省の主計局がその方針通りに官庁の要求を切っていくような仕組みを、もう一度きちんとつくりなおす必要がある。もちろん、出てきた結果に対しての責任は政治家がきちんと取る。指示に従って事務方が一生懸命進めてきたことを、途中ではしごを外されて、その失敗を事務方のせいにされてしまっては、役人はたまったものではない。各省から上がってきた法案を通し、最後まできちんと責任を持つ政治家には、皆がきちんと協力してくれるはずだ。しかし、残念ながら今の民主党には、優先順位をつける能力も、反発を押し切る力もないようだ。

――自民党も民主党も政策責任能力に欠ける中で、国民は「みんなの党」に注目し始めているようだが、「新党きづな」の今後はどうなっていくのか…。

豊田 「みんなの党」は、ほとんどの都道府県で2桁の支持率を得ている。さらに大阪維新の会と手を組むとなれば、それは強力な勢力となるだろう。我々の「新党きづな」のメンバーもそれぞれに想いがあると思うが、私はこの党を、次のステップへの「つなぎ」だと考えている。それは、起爆剤にはなれても、9人では何も出来ないからだ。民主党の中には、「このままでよいのか」と思っている人もたくさんいて、政府閣僚の中にも内心は消費税増税に反対の人もたくさんいる。我々のように次のステップに進む動きも出てくるかもしれない。このように、政党再編と内閣の動きが流動的な中で、新党がどうなっていくのかはまだまだわからない。とにかく大事なのは数であり、その数が一致して動かなくてはならないということだ。(了)