ローコストオペレーションを推進

ローコストオペレーションを推進

オリックス生命保険
社長
大藤 俊行 氏



聞き手 編集局長 島田一

――昨年7月に社長に就任されたが、会社の雰囲気は…。

大藤 我々は91年にオリックス・オハマ生命保険会社を設立し、93年にオリックス生命保険となった。オハマ生命から引き継いだ後も、暫くは古いビジネスモデルを続けていた。改革元年となったのは05年で、そこから抜本的な転換への取り組みを始めた。そして今、我が社は非常に活性化していると思う。我が社は個人のお客様の様々な保障ニーズに応える「保障性商品」を柱としている。「シンプルで分かりやすい」をコンセプトに、今のニーズに的確に対応した純粋な保障を、出来る限りリーズナブルな値段で提供することを目指しており、中でも医療保険「CURE(キュア)」は皆様から高い評価を頂き、販売好調だ。

――契約件数は…。

大藤 今年4月に150万件を突破した。まだまだ大手保険会社のレベルには届かないが、一昨年10月に100万件に到達した後、1年半余りで50万件の新規契約を頂いたことを考えると、このところの契約数の伸びは素晴らしい。販売方法は、現在主流の「乗り合い代理店システム」を利用しているが、他の商品と比較された上で我々の商品を最終的にお客様に勧めてもらえることも大変有難く、代理店の方々と共に成長していきたいと考えている。商品は、新聞や折込チラシでのダイレクト販売の他、ネットでの直接購入も可能だ。昨年5月に販売を開始したネット限定の商品(「ブリッジ」)もあり、こちらも大変好評を頂いている。代理店チャネルとネットチャネルの両方を持っているのは我々が初めてであり、そういった強みもある。

――販売方法や商品内容の将来的な展望は…。

大藤 それは、あくまでもお客様の傾向次第だ。例えば販売方法に関しては、保険は安い買い物ではなく、自分なりに調べるだけでは不安なので、代理店の人と対面して相談したいと言う方もいらっしゃれば、自ら判断、選択されてネットで購入される方も数多くいらっしゃる。我々としては、そのようなお客様一人一人の考えに一番合った商品を提供していきたいと考えている。05年から改革を始める中で一番重視してきたことは「顧客本位」だ。シンプルで分かりやすい商品を心がけていたからこそ、以前、保険業界で起きた不払問題とも無縁だった。まさに今、一人一人に合わせた商品が主流になってきているのではないか。

――シンプルで分かりやすく、かつ、自分に必要なものだけを組み合わせることが出来る、オーダーメイドの商品が主流になりつつあると…。

大藤 例えば前述の「CURE」の姉妹商品である「CURE SUPPORT(キュア・サポート)」という商品は、条件緩和型で、軽度の持病を持つ方も加入することが出来る。保険料は少し高くなるが、これまで持病のために保険に加入出来なかった人たちにとっては大変嬉しい商品だろう。このように、お客様のニーズにきめ細かく応えつつ、保険数理的にも見合う商品を、我々は日々一生懸命考えている。そういう意味では、保険業界全体が活性化しており、大変におもしろい世界になってきていると言える。

――リーマン・ショック以降、保険会社にも銀行と同じようにソルベンシー・マージンの見直しが行われたが…。

大藤 それは当然のことであり、非常に合理的だと思う。ただ、日本の経済全体、いや世界的にもリスク商品に資金が向かわないようになる傾向が見られるのではないかとも感じている。確かに規制は合理的でミクロ面から見ると正しいことかもしれないが、マクロ面から見れば、株式やリートといった市場にお金が流れておらず、国債一点集中になっていた場合、万が一、ギリシャのような事態に陥り、国債という堤防が決壊した時にどうなるか。そういった懸念から、株式市場など様々なところへお金が流れていた方が良いのではないかという考えもある。現在の状況において様々な規制が必要なことも理解出来るが、経済全体としてリスク資産にも資金が流れることが確保されなければ、日本経済を活性化させることは難しいのではないか。

――オリックス生命の経営課題は…。

大藤 引き続き、お客様のニーズに的確に対応しつつ、シンプルで手頃な保険料の、良質な商品を提供し続けることが一番だと考えている。そして、その必要性はますます高まってきていると感じている。私は以前金融庁で働いていたが、この会社に来てから、民の素晴らしさを感じている。それは、コストカットやローコストオペレーションなど、官公庁では大変だと言われていることも、民間の会社では積極的に色々なアイデアを出して、スピード感をもって、きちんと実現させていることだ。05年以降、我々は3年間で約30%のコスト削減目標を達成し、さらに今でも様々な部分の経費を下げてきている。それは、会社がローコストオペレーションを実現すれば、お客様に安くて良い商品を提供出来ることに直結するからだ。我々はそういうインセンティブのもとに、ローコストオペレーションの推進に努力を続けている。1000人程度という我々の規模が、しがらみも少なく、良いと思ったことをどんどんやれる環境を作り出しているのかもしれない。

――将来の展望は…。

大藤 当社の商品が、代理店の方々のご支援、ご協力もいただいて、お客様に支持選択していただけるよう、これからも社員一同努力を続けていきたい。前述のように、契約件数は目覚しい伸びを見せ、それに伴って利益も順調に伸びてきている。オリックスグループ間での協力体制もしっかりしており、非常に力強い。そして何より、社員一人一人の士気が高いことが、良い商品を生み出している一番の理由だと思う。その商品を高く評価してくださるお客様がいるから、順調に売れる。そのことで、また、士気が高まる。今、そういった良い循環になっている。(了)