警鐘・地球はむしろ寒冷化

警鐘・地球はむしろ寒冷化

東京工業大学
教授 理学博士
丸山 茂徳 氏



聞き手 編集局長 島田一

――地球はむしろ寒冷化しつつあると…。

丸山 98年に最高温度をつけてから10年間、地球の平均気温は少しずつ下がり始めてきている。今は人工衛星によって地球の表面温度を測ることが出来るようになり、それをみても、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が唱えるように永久に気温が上がり続けるということは有り得ない。地球の気温に大きな影響を与えている太陽の黒点活動においても、実際に太陽の黒点の周期は11年から12.8年に延びた。周期が延びると地球の気温が下がることは既に実証済みだ。また、地球の平均気温が変化する時、緯度によって気温変化の幅が大きく違っており、例えば地球の平均気温が1度上がるときに、赤道付近では0.1度の上昇で、我々が住んでいる中緯度辺りでは2度程度、北極圏では10度程度上昇する。ただ、北極圏の平均気温というのはマイナス40度程度であり、それが10度上がったところで大きな影響はない。過去150年の間に0.8度上昇したからといって大騒ぎする必要など全くなく、40億年の地球の歴史から見ると、地球はいまだに氷河期にある。それを皆は忘れてしまっている。

――グリーンランドはかつて緑に覆われていた…。

丸山 10世紀から14世紀にかけては中世の温暖期があった。その頃は人間の活動が一番活発な時期で、ヨーロッパではバイキングがグリーンランドに年4回程度定期船を送って入植し牛を放牧していたりした。IPCCの報告によると、その頃の地球全体の平均気温は今よりも遥かに寒かったとされているが、果たして今、グリーンランドで牛を放牧できるような場所はなく、氷床で覆われている。つまり、IPCCの報告の信憑性は極めて疑わしい。現在が中世の温暖期よりも寒かったということはグリーンランドを見ても分かるが、地質学などを研究している世界では常識であり、古い時代の気候を見れば地球に氷河があること自体が異常事態だ。そういう常識的なことを世の中の人達はあまりにも知らなすぎる。IPPCでは今の温暖化をさも重大事であるかのようにとりあげている。その背景には、小さな研究集団が巨額の研究費をもらうために、世界中で手を結んでいるということもある。

――今は黒点の数が減って地球が寒冷化しつつあると…。

丸山 デンマークの天体物理学者ヘンリク・スベンスマークの説では、黒点が減り太陽活動が弱くなると、その分だけ太陽以外の遠い宇宙から飛んできている宇宙線が直接地球に当たりやすくなり、それによって雲の量が増え、地球の気温が下がるという。雲は通常、地球の約50%を覆っているが、雲が地球を冷やす効果は桁違いに大きく、例えば入道雲のような反射率100%の真っ白い雲の量が1%変化しただけで、地球の平均気温は1度変わる。それは計算上で簡単にわかることだ。しかし、現実の観測で過去の雲の量がどれだけ増減しているかを調べるのは難しい。今は人工衛星を使って地球の表面の晴れの部分だけ見るという技術があるが、例えば明け方の海上の霧と雲をどう区別するかなど、完全に観測出来る状態ではないが、黒点の減少と地球の寒冷化の関係は既に証明されており、かつ、ここ数年、黒点が減少していることも事実だ。

――雲を原因とした温度変化はCO2濃度の比ではないと…。

丸山 その通りだ。CO2の濃度が地球の気温に大きな影響をもたらす訳ではないにも拘らず、かつ、日本は世界の他国に比べてそこまで大量のCO2を排出している訳ではないのに、削減義務を達成できなければ京都議定書の賠償金として2兆円を払わなくてはいけないということを私は一番問題視している。この国の歳入は約40兆円あるかないかという、いわば落ち目の国なのに、論拠の疑わしい二酸化炭素排出削減のために何兆円ものお金を払っているというのはどういうことか。CO2による温暖化は、科学の上ではすでに解決され、論争が閉じてしまっているかのように報道されているが、科学の論争は全く終わっていないし、閉じてもいない。気象学者はこの国を早く崩壊させようとしているようなものだ。欧州や米国や中国のような、最大のCO2排出国が1円もとられず、何故日本が多額のお金を負担しなくてはならないのか。この問題は政治家や科学者が皆一致団結して解決していく必要がある。

――しかし、CO2が増えると何か問題は起きないか…。

丸山 いや、そもそも地球の歴史上、今がもっともCO2が少ない時代だ。何億年も前はCO2がふんだんにあり、そのおかげで植物や巨大生物が生き生きと暮らしていた。今は、むしろこれ以上CO2を減らしてしまえば、人間だけでなくあらゆる生物が死滅してしまう危機さえある。また、かつての地球、今のように氷河期ではなかった頃の地球は、南極はもちろん緑に覆われており、巨大な樹木が生えていて氷など無かった。つまり、今の地球が歴史上いかに寒くなっているかということであり、IPCCなどが指摘するような、温暖化して生物が死に絶えていく状況ではないということだ。

――地球寒冷化を前提とすると、産業構造も変化していく…。

丸山 まず、原子力は今世紀中になくなるだろう。それが50年間というリミットであれば、日本は廃炉ビジネスをやるべきだ。以前、世界で初めての廃炉ビジネスをスコットランドが行ったが、思った以上にお金がかかったという。しかし、これから廃炉ビジネスは、今後、世界でどんどん増えていくだろう。また、使用済み核燃料をどうするかという問題について、私は、人がほとんどいないロシアのシベリアに地下貯蔵施設を作ればよいのではないかと考えている。テクノロジーやその他あらゆるものは日本が提供し、ロシアは倉庫番だ。ロシアは産業が育つ土壌がなく、資源もやがて枯渇する。そのことを見越して政治が頑張らなくてはならない。例えばどこの国にも属していない南極に埋めるという考えもあるが、日本政府としては使用済み核燃料と北方領土を絡めてロシアと交渉していくべきではないか。それこそ政治家の腕の見せどころだ。

――今後、日本にとって有効なエネルギーは何だと思うか…。

丸山 エネルギーに関しては、そもそも使う量が増えていることが問題だ。その根底は人口の増加だ。私が生まれた1949年から現在までで、世界人口は倍に増えた。ちなみに夏目漱石がロンドンにいた頃の世界の人口は17億人だった。その人口増殖に対応するために、筑波では藻類から石油を作る研究が進められている。水素エネルギーは生成出来る量が圧倒的に少なく非効率だが、効率の良い藻類を使えば、既に1リットルあたり50円で、砂漠でも試験管と水があれば育てられる。なにより藻類エネルギーはガソリンスタンドや車といったハードを変える必要も無い。それを石油と同じように使えば良い。ただ、これは現在日米間での競争となっており、遺伝子組み換えによって能力の高い藻類を作っている米国に対して、日本は遺伝子組み換えが禁止されているため、性能の良い藻類を筑波センターで探しているところだ。現在の1リットル50円を下回れば、完全に採算の合う代替エネルギーになるだろう。

――藻類を使ったエネルギー…。

丸山 もうひとつ、太陽のエネルギーをレーザーに変えるということも必要になってくると考えている。太陽の光をレンズで集光すると、藻類の育成も早くなる。さらに、海の中は「にがり」があるが、それをレーザーによってマグネシウムと塩素に分解させれば、海水からマグネシウム金属が抽出され、そのマグネシウムを酸素と結合させるとストロボのようにエネルギーを出すことが分かっている。マグネシウムを新しい時代のエネルギーとするという話はすでに進んでいて、それを可能にするにはレーザーの技術が必要だ。太陽のような色々な波長を持った光をレーザーに変えることで、新しいエネルギー利用が可能になる。この二つが最もポテンシャルの高い次世代エネルギーだといえよう。太陽電池や太陽光発電も採算は合うと思うが、それらで作った一つのパネルから、もう一つのシリコンパネルは出来ないという問題がある。いずれにせよ、半ば馬鹿げたCO2による地球温暖化説をいち早く見直していかないと、日本経済はこの面でも大きく立ち遅れることになる。(了)