歳入庁を創設し特別会計の廃止を

歳入庁を創設し特別会計の廃止を

みんなの党 代表
衆議院議員
浅尾 慶一郎 氏


聞き手 編集局長 島田一

――みんなの党の新代表として約2カ月が経過した…。

浅尾 色々と世間をお騒がせしたが、これをきっかけに我々は、もう一度「みんなの党」のどういった部分が国民から期待されているのかを再確認している。それは、徹底した公務員制度改革を中心とした行政改革や市場重視の経済改革、さらには道州制を含めた地方分権の推進といった、特に内政に関る改革姿勢だと思う。これらに特化して、もう一度原点回帰して政策に臨んでいきたい。特に市場重視の経済改革と行政改革といった面では 他の党と比べて我々には大きな差異があると考えている。この二つの政策は安倍政権でも力を入れている部分であり、国の為になるこういった改革はどんどん進めていってもらいたいと思っている。しかし現実は、皮肉をこめて言えば、安倍総理がダボス会議で「岩盤規制にドリルで穴を開ける」とは言ったものの、現時点でまだ穴は開いていないし、規制改革のメニューすら出ていないのが現状だ。

――みんなの党の具体的な提案は…。

浅尾 先ず、公務員改革や行政改革という面では、社会保険料を徴収するために日本年金機構と労働保険事務所と税務署を統合して歳入庁を作るべきだと提案している。国民が納める保険料や税金は実際には勤務先の会社が集めている場合が多く、そのお金の振込先や資料提出先が一カ所であれば会社としても手間が省け、行政改革にもなる。年間約10兆円とも言われている保険料の取り漏れも改善されるだろう。しかし、この提案に対して財務省は徹底的に反対している。この辺りをもっともっと安倍内閣で進めていってほしい。

歳入庁の件に限らず、我々は「先手の金融政策」「財政出動によらない経済対策」「岩盤規制の撤廃」という、みんなの党としての新しい3本の矢を提案している。例えば金融政策では今の定額ではなく、定率での国債買い入れを提案している。緩和継続は支持するが、現在のような定額での買い入れでは日銀のバランスシートが大きくなれば買い入れ率は低くなるからだ。財政については公共事業中心よりも減税に力を入れるべきだと考え、企業の税務における償却期間の自由化を提案している。財務会計上では色々なやり方があるが、税務まで税法で決めて尚且つ財務会計とずれるというのはおかしい。これによって単年度では税収が減ったとしても、償却資産がなくなれば税金もその分納められるだろう。設備投資や事業再編の促進にもなる。また、法人税減税については我々も賛成しているが、この実現が難しい場合には、配当金を損金算入出来るようにして、現在、益金不参入の原則で課税されている企業向けの配当を、個人向けの配当同様に一律20%分離課税すべきという案も用意している。配当金を払った後に税金をかけるようにすれば、企業内部で使われていないお金がもっと動くようになると思う。企業は今、株主還元に力を入れているが、それをよりやり易くするための財政政策と言ってもよいだろう。

――長期の成長戦略となる取り組みは…。

浅尾 第一弾として、医療、農業、電力分野を中心とした規制改革を提案している。第二弾としてこれから取り組む予定のものは、人手不足問題の解消だ。現在、日本の雇用の70%超は第三次産業に従事している。三次産業はサービス業であるため基本的に空洞化は発生しないはずなのだが、その部分で人手不足になっているのは今後の日本にとって大きな問題だ。そこで、生産性の低いサービス業から生産性の高い非製造業に人材が簡単に移動できるような仕組みを整えるようなことが必要だと考えている。そこで国が出来る事は、例えば労働監督を強化して最低賃金を徹底させること、或いは転廃業資金を国が負担するといったことだ。我々はこれを非製造業、サービス業における構造転換資金として出していくべきだと考えており、野党といえどもこういった提案はしっかり行っていきたい。

――規制改革が進まないのは公務員改革が進まないからだと思うが、その辺りは…。

浅尾 色々な理由があると思うが、一番問題なのは役所毎に特別会計があり、そこが黒字の場合に理由をつけて余計なものに使ってしまうという今の構造だ。そこで歳入庁を作って徴収場所を一本化するということは改革の大きな一歩となると思う。そして将来的に役所毎の特別会計をなくしていけば、使う際ももっときちんと考えて使うようになるだろう。また、それぞれの省が利害を争うような構造を変えるために、局長クラス以上が省を超えて移動するような人事も必要だと考えている。これは今の法律でも出来るため、今回新設した内閣人事局がこういったことを実施するのか、そのやる気が試されている。さらに、みんなの党では局長以上の身分保障をなくすという提案をしている。今は国家公務員すべてに一般職の身分保障がついているため、事務次官でも辞表を出さない限り辞めさせる事は出来ない。例えばテレビなどで官僚批判発言を繰り返していた元経済産業省の古賀茂明さんが辞めるまでにも相当の時間がかかった。そういったことをひとつひとつ変えていくことで、柔軟な規制改革が進んでいくと考えている。

――将来的には自民党とパーシャル連合を組むようなこともあるのか…。

浅尾 自民党が我々のこのようなアイデアを採用してくれればそうなるだろうが、今は採用してくれていないため、今のような状態になっている訳だ。先ずは我々の提案に対する回答を求める。回答によっては野党との連携を考えることもあるかもしれない。我々からみたアベノミクスは、金融政策頼みであり、有効な財政政策や成長戦略もない。日銀が追加緩和しなければ株価も足踏み状態で、場合によっては下落する可能性もある。そこで消費税を10%に上げればさらに落ち込んでいく可能性もあるだろう。つまり、安倍政権の支持率は株価連動型であり、株価が落ちれば彼らがやりたいことの足を引っ張るということだ。この点、我々の党は一番経済のことを理解しており、市場重視の経済政策を行える政党だ。そういった考えで提案した我々の政策を自民党が採用してくれればいいし、採用しなければ、野党再編もあるということだ。野党再編に関しては自民党内部にいる改革派の人達を引っ張り込むことも考えている。維新の会と民主党がつば競り合いにある状況を考えると、自民党にいる人達を引っ張ってきた方が両党とも担ぎやすいという構造があるからだ。

――安倍総理の靖国参拝は中国や韓国との関係を悪化させているが、安倍外交をどう評価するか…。

浅尾 日本外交における一番の課題は近隣諸国との関係だ。各国がそれぞれに国内世論を抱える中で、少なくとも当事国以外の国から余計なことを言われないようにしなくてはならない。例えば、靖国神社が表している歴史観は戦勝国アメリカからしても受け入れがたいものであり、それを中国や韓国から政治利用されると考えれば安倍首相の靖国参拝はマイナスだ。みんなの党は歴史修正主義には立たない。戦勝国が押し付けたものが正しいかどうかは別の問題として、それを受け入れてサンフランシスコ平和講和条約を結んだ訳だ。そうであれば歴史修正主義には立たないというのが現実的な外交だと思う。そもそも、もう一度歴史を変えようとしても、それは無理な話だ。靖国神社の参拝については、国の命令で命をなくした人に対して尊崇の念をささげるのは理解できる。しかしながら、300万人という日本兵の命を失わせた当時の戦争主導者に対しては区別しなくてはいけないと思っている。靖国神社の説では宗教上いっしょに奉ったものを分祀は出来ないとうことだが、そこは何か分祀出来ることを考えるべきだろう。(了)