投資部門伸ばしROE向上にも貢献

投資部門伸ばしROE向上にも貢献

大和企業投資
取締役会長
高橋 昭夫 氏



聞き手 編集局長 島田一

――大和PIパートナーズと大和企業投資の業務内容の棲み分けは…。

高橋 大和PIパートナーズのPIは「プリンシパル・インベストメント」、つまり自己投資だ。自己投資業務は、1997年銀行の不良債権へのバルク投資を行うことからスタートし、現在はプライベート・エクイティ等への投資も手がけており、2010年より現在の社名で業務を行っている。また、大和企業投資は旧日本インベストファイナンスの流れを汲んでおり、SMBCとの合弁を解消した際に現在の社名へと変更した。大和企業投資では、投資家から集めた資金でファンドビジネスを行っている。これに対し、大和PIパートナーズは自己資金での投資という違いがある。大和企業投資のファンドでは、東京都及び中小企業基盤整備機構との連携によるベンチャー企業成長支援ファンドや、東北6県と茨城県に本店や事業所がある企業を対象とした東日本大震災中小企業復興支援ファンドなどにも取り組んでいる。また、今年の2月には中小企業基盤整備機構と台湾政府系機関のマネーをベースに、大和日台バイオベンチャーファンドを立ち上げた。

――それぞれの現在の投資規模は…。

高橋 大和企業投資にはいくつかのファンドがあるが、来年までに償還を迎えるものを除くと、投資可能な金額は300億円程度。一方、大和PIパートナーズの投資残高は、SMBCとの合弁が続いている大和SMBCPIで投資をしているものを含めると1000億円程度だ。大和証券グループでは、4月に公表した中期経営計画の個別戦略の一つとして「次世代企業の発掘・育成と成長資金の供給」を掲げている。投資部門としては、これまで数十年以上にわたり培ってきた投資ビジネスの知見やネットワークをフル活用し、大和証券グループの各部門と連携をしながら、こうした有望な企業に対して積極的にアプローチをしていく。その他、企業への投資に限らず、魅力的な投資機会は積極的に捉えていくつもりだ。また、大和日台バイオベンチャーファンドに続く新たなファンドレイズも進めていく。

――海外への投資はどのように考えているか…。

高橋 もちろん海外にも目を向けている。数年前にベトナム最大の証券グループであるサイゴン証券とファンドを立ち上げたが、これが今年で投資先全てエグジットできる公算になった。サイゴン証券とは近く2号ファンドを立ち上げることで合意し、作業を進めている。また、中国の湖北省武漢市で立ち上げたファンドもエクジットをすすめている。このほか、インドネシア等で案件が具体的になってきている。将来的にはミャンマーでも投資を検討していきたいと考えている。自己投資に関しても、現地有力パートナーと連携し、アジアを中心に投資を行っており、良い案件があれば今後も継続していく。

――不良債権が減少しているため、PIの投資は難しくなっているのは…。

高橋 金融機関が保有している不良債権の額は、ここ2年でたしかに減少している。その一方、投資のプレーヤーも減っているため、我々の投資金額はさほど変わっておらず、コンスタントに投資ができている。不良債権には1998年くらいから累計で約4000億円投資をしているが、近年でも、投資残高に対して少なくとも年10%を超えるリターンを確保しており、これが大和PIパートナーズの収益のベースとなっている。これに加えて、一連の電力・エネルギー分野の制度改革を投資チャンスと捉え、数年前より、太陽光やバイオマスなどへ再生エネルギーへの投資も積極的に進めている。大和証券グループではエネルギー・インフラ分野でのファンド組成等も検討しており、連携を行っていきたい。

――投資部門がグループの中で果たす役割とは…。

高橋 大和企業投資は、資金を預かり運用するという性格上、IPO等での貢献が中心であるが、大和PIパートナーズは自己資金での投資であり、大和企業投資と競合しない限りはどの分野にも投資ができる。このため、大和証券グループ全体で戦略的な投資を行うための役割を担っている。例えば、昨年11月、住宅特化型J-REITの日本賃貸住宅投資法人に関し、大和証券グループ本社が、日本賃貸住宅投資法人の資産運用会社であるミカサ・アセット・マネジメントの株式の約30%をスポンサーより譲り受け、スポンサーが保有する残りの株式(68%)について追加取得する権利の付与を受けたが、この一連の取引として、大和PIパートナーズは、スポンサーが保有する日本賃貸住宅投資法人投資口を担保とした融資を実行した。大和PIパートナーズの投資機能を活用することで、純投資として投資リターンを確保することに加え、大和証券グループの不動産アセットマネジメントの強化にも資する取組みであったと考えている。大和PIパートナーズでは、このような、自らが投資リターンを確保できることを前提にしつつ、グループビジネスの推進に繋がるような案件にも積極的に取り組んで参りたい。

――2社の株式の上場を行う考えは…。

高橋 現在のところ、株式を上場する予定は全くない。大和証券グループの一部門として、グループの各部門と緊密に連携しながら積極的な業務展開を進める。ただ、必要に応じてファンドを組成してLP出資を募り、さらに大規模な投資が出来るような体制は検討していきたい。また、大和PIパートナーズと大和企業投資の両社において、リスクマネジメント機能を含む管理面において共通する部分が多いことから、この部分を1つにまとめるため組織の見直しを行っている。これにより、業務の効率化と収益基盤の拡大を目指している。

――今後の抱負は…。

高橋 大和証券グループの中期経営計画では、企業の持続的成長と新規産業の育成が大きなテーマとなっており、我々もこれに向けて役割を果たしていきたい。また、中期経営計画では自己資本利益率(ROE)10%以上をコミットメントとして掲げているが、投資部門としてこれに貢献していく必要があると考えている。幸いにして経済環境が良く、自己資本が積み上がってきているので、より効率的な活用を目指していく考えだ。